2020年6月23日火曜日

かろうじて初等関数で表される積分(その2)

この問題は、ここをクリックした先の問題の解答です。

以下の問題の問3の方が問2より易しい(問1よりも易しいと言えるかもしれない)ので、それを先に解いてください。

【問1】x>0の区間での以下の不定積分を求めよ。

【解答】
(注意)この被積分関数は、x=0,-1で関数値がプラスマイナス無限大に発散して、その点で断絶しています。
この被積分関数は、その点を含まない区間でのみ積分できます。x>0の範囲内の区間では積分できます。
 (解答開始)
先ず、変数xの関数を以下の変数tに置き換えて、置換積分します。
ここで、
t>0
を満足する以下の変数tを定義します。
 (解答おわり)
 この問題は何とか解けましたが、この被積分関数が少しでも形を変えると、初等関数の解が無くなります。なお、この解き方は、以下の問2の解2の式4以降の解き方のように、変数変換の手順を分かり易く分けて解くこともできます。

(補足1)
以上の問1の問題は、以下の条件を満足したので、不定積分がかろうじて初等関数で表せました。
しかし、以下の条件を満足しなければ、このような初等関数の解を得る事ができません。
上の条件の2つ目の条件が満たされると、以下の計算のように、変数xをtの逆数に変換するとtの整数乗が出て来る。

そのため、変数xの整数乗があるか、xをtの逆数に変換すれば変数tの整数乗が出て来ることが、初等関数の解を得る事ができる条件です。

【問2】x>0の区間での以下の不定積分を求めよ。

【解1】
 この不定積分は、補足1の条件を満足するので、初等関数で表せます。

 先ず、変数xの関数を以下の変数tに置き換えて、置換積分します。
この式3の被積分関数は、問1の被積分関数と同じ形をしています。
そのため、これ以降の計算は、問1と同様に変数を変換して解く事ができます。
(以下の解答は省略)

【解2】
先ず、以下の式に変形します。

この変形で、このようにxの整数乗が出てくれば、この積分は初等関数で表せることが分かります。次に、変数xを以下の変数tに置き換えて、置換積分します。

次に、変数tを以下の変数uに置き換えて、置換積分します。

ここで、
W>0
を満足する以下の変数Wを定義します。

 (解2おわり)

【問3】x>0の区間での以下の不定積分を求めよ。


【解答】
先ず、以下の式に変形します。


この変形で、このようにxの整数乗が出てくれば、この積分は初等関数で表せることが分かります。次に、変数xを以下の変数tに置き換えて、置換積分します。

次に、変数tを以下の変数uに置き換えて、置換積分します。

(解答おわり)

 以上の問1の形や問2や問3の形の被積分関数は、補足1の条件を満足しない場合には、その不定積分は初等関数では表せません。

 また、問2や問3の解き方のように、xの複雑な関数を積分しようとする場合には、xの逆数=tで置換積分する。そうしたら、tで表された被積分関数が、問1の被積分関数ではxの整数乗があるのと同様に、tの整数乗がある関数に変われば、不定積分が初等関数で表わせます。そうならなければ、その不定積分は初等関数で表せないという見通しを立てる事ができます。

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