2022年10月15日土曜日

複素数平面のベクトル方程式(1)

以下はここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
以下の方程式の実数p,qを求めよ。


【第1の解】

 先ず、方程式(1)の全体にβの共役複素数を掛け算して、変数qの掛かっている項全体を実数にする。
そうした上で、
式全体の虚数成分だけをIm()演算で抽出する計算をする。
そうすれば、変数qが掛かった項が消されて、
変数pだけが残った式ができる。


 次に、方程式(1)の全体にαの共役複素数を掛け算して、変数pの掛かっている項全体を実数にする。
そうした上で、
式全体の虚数成分だけをIm()演算で抽出する計算をする。

(第1の解おわり)

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高校数学の目次
複素数の分解の公式と、合成の公式

2022年10月14日金曜日

重複組合せ(3) X+Y+Z=N問題と最短経路の数

以下はここをクリックした先の問題の解答です。

【問3】

方程式x+y+z=7の負でない整数解は何個あるか。

【第1の解】

この問題の方程式の解を順次に書くと、
(x,y,z)=
(0,0,7)
(0,1,6)
(0,2,5)
・・・
と順次に書けます。
xが0~何個かであり、
yが0~何個かであり、
zが0~何個かである
組合せの数を求める問題です。

この問題は、その解の組み合せと1対1に対応する別の組み合わせを求める以下の問題を考えます。そして、その組み合わせの数を考えると解けます。

初めに、(x,y,z)=(0,0,0)としておき、
それらのx,y,zの値を1つづつ増す7つの指令の組合せの数を求める。
その組合せは、以下の、
変数を直接指定する3つの指令と、
変数を間接的に指定する6つの指令
とから成る合計9つの指令のうちから7つを選ぶ組合せと1対1対応します。

x指令:xを選んで、その値を1にする。
y指令:yを選んで、その値を1にする。
z指令:zを選んで、その値を1にする。
第2指令:第1指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第3指令:第2指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第4指令:第3指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第5指令:第4指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第6指令:第5指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第7指令:第6指令で値を設定した変数に更に1を足す。

上の指令から7つを選ぶ。
その選択の結果、順番が抜けている第n指令の位置に、選ばれたx指令、y指令、z指令のいずれかをx,y,zの順に配置して、第1から第7指令を完成させる。

この指令の組合せは、例えば、
(1)y指令:yを選んで、その値を1にする。
第2指令:第1指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第3指令:第2指令で値を設定した変数に更に1を足す。
(4)z指令:zを選んで、その値を1にする。
第5指令:第4指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第6指令:第5指令で値を設定した変数に更に1を足す。
第7指令:第6指令で値を設定した変数に更に1を足す。
です。
この指令群の結果、
x=0で変わらず、
y=1+1+1=3
z=1+1+1+1=4
となり、
x+y+z=7
を満足しています。

大事なポイントは、この指令の組み合わせが、x+y+Z=7を満足する負でない整数解に1対1に対応することである。
(1)この指令の組み合わせが、x+y+Z=7を満足する負でない整数解を表す。
(2)逆に、x+y+Z=7を満足する負でない整数解は、必ず、これらの指令を7つ組み合わせることによって表すことができる。

そのため、
方程式x+y+z=7の負でない整数解の数
=x指令とy指令とz指令とその他の6つの指令から7個を選ぶ組み合わせの数
(3+6)
(3+6)
=9×8/2=36
(第1の解おわり)

【第2の解】
方程式x+y+z=7の負でない整数解が何個あるかを以下のようにして求めることもできる。

上図のようにx行とy行とz行との3行を有し、横の長さが7の格子を考える。
格子のA点からB点まで、xの行からzの行まで格子を辿って、右と上に進む最短経路を描く。

上図で、
x=(x行の、A点から昇り階段までの長さ)
y=(y行の、階段と階段の間の長さ)
z=(z行の、階段からB点までの長さ)
とすると、
方程式x+y+z=7がいつでも満たされる。

A点からB点まで、格子をたどって右と上に進む1つの最短経路は、
方程式x+y+z=7を満たす(x,y,z)の1つの組合せに
1対1で対応する。
つまり、
(1)どの(x,y,z)の1つの組合せに対しても、必ず1つだけ、AからBへの最短経路がある。
(2)AからBへのどの最短経路に対しても、必ず1つだけ、(x,y,z)の組合せがある。
という関係(1対1対応する関係)がある。

そのため、A点からB点までの全ての経路の数は、(x,y,z)の組合せの数と等しい。

上図の経路は、
→→↑→→→↑→→
とあらわせる。
すなわち、経路は、(↑)2つと(→)7つの配列であらわされる。
-------(注意)-------
ここで、「配列」という用語の定義を、同じ(↑)2つの順や同じ(→)7つの順を区別しないで配列の数を数える事を「配列の数を数える」と定義する。
「順列」という用語の定義を、1つ1つの(↑)や(→)に名前を付けた9つの要素の順の配列の数を数える事を「順列の数を数える」と定義する。その順列の数=9!である。
-----(注意のおわり)--------------

(A点からB点までの経路は、(↑)2つと(→)7つの配列と1対1対応する)
そのため、図のA点からB点までの全ての経路の数は:
(3): (↑)2つと、(→)7つが作る全ての色配列の数と等しい。ただし、その色配列は、その配列において、個々の(↑)2つの配列の順を区別せず、個々の(→)7つの配列の順を区別しない。
(4): その色配列の数は、合計(2+7)個の矢印から2つを選んで上向き矢印にし、それ以外の矢印は横向き矢印にする組み合わせの数と等しい。

よって、その組み合わせの数は、
(2+7)!/(2!×7!)
(2+7)
になる。
(第2の解おわり)

【第3の解(概要のみ)】
 経路を考えずに、
(↑)2つと(→)7つの配列が、方程式x+y+z=7を満たす(x,y,z)の組合せに1対1で対応することに注目することで答えを計算することもできる。
(↑)と(↑)の間の(→)の数が、x、y、zに対応するからである。

ここで、
→→↑→→→↑→→
のように、最後にはもう(↑)が無い配列が作られる一方、
例えば、
→→→↑→→→→↑
のように、
最後に並べた(→)の後に、(↑)を加えた配列も作られる。

最後に(↑)を加えた配列は、最後にあたるZの数が0であることをあらわす

リンク:高校数学の目次
場合の数と確率

2022年10月7日金曜日

樹形図で解く分類の分析問題(ベン図問題)

このページはここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 ある特定の50人に対して、「A」、「B」、「C」の3冊に関する調査を行ったところ、次のことが分かった。
ア、いずれも読んでいない 5人
イ、Cだけ読んでいる 10人
ウ、AおよびBを読んで、Cだけを読んでいない 8人
エ、少なくとも、Aを読んでいる 23人
オ、少なくとも、Bを読んでいる 22人
このとき、「A」、「B」、「C」のいずれの本も読んでいる人の人数を答えなさい。
(問題おわり)

【解1】
 ベン図の問題は、(未知数の係数が0か1であらわされた)連立方程式の問題です。一言で言えば、その連立方程式を解けば良いのです。その連立方程式を解きやすくするために樹形図の表現が役立つ場合が多い。

 以下の樹形図を描く。
「A」、「B」、「C」のいずれの本も読んでいる人の人数をx人とする。
 そして、図の数字がわかる順に、⑦⑧⑨⑩⑪の順に数字を埋めていく。

その結果、
x=2
がわかった。
(解1おわり)

【解2】
 以下の樹形図を描いて解く。

その結果、
x=2
がわかった。
(解2おわり)

【解3】
 樹形図を書く際に、事象の総数がわかっている事象Aや事象Bをなるべく根本に近い部分に配置する。それらよりも、それ以外の事象Cを優先させて根本の近くに置くと、以下の解答のように新たに、縦幹である縦線(方程式をあらわす)を追加して樹形図を再構築する必要を生じる。

 その樹形図の再構築は、以下の解答のように新たに追加する幹は(右端で横幹を作ることはせず)縦幹である縦線のみを追加して解くと、樹形図が単純に描ける。ここで、各縦線が1つの方程式をあらわしていることに注意すること。

そうすることで、
x=2
がわかった。
(解3おわり)

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