2023年11月28日火曜日

三角形の頂点から垂心までのベクトル

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。 

【問2】
 下図で、点Aから垂心HまでのベクトルAHをベクトルABとベクトルACとであらわせ。


【解答】
先ず、ベクトルbとcの内積を求める。

上の式(3)の関係が成り立っているため、以下の式(4)と(5)が成り立つ。


結局、以下の式が成り立つ。

(解答おわり)

《補足》
式(8)は覚える必要がないと思う。
この問題を解くために以下の公式が要石になっていることだけ覚えれば良いと思う。


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2023年11月25日土曜日

横国文系2023年大問3の解答

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【問題3】


【解答1】
 先ず、問題の全貌を以下のパターンで俯瞰する。


上図の赤線が3つの面OAB、OBC、OCAの全てに交わると理解できる。
 また、平面ABCが直線ODと交わる点Eを想像する。そして、 直線ODと傾きが近い直線DXが各面と交わる点P,Q,Rを以下の図のように想像することができる。


そして、問題文の条件を、以下の式の群に翻訳する。また、点Xは三角形ABCの範囲内にあるので、0≦s≦1、0≦t≦1がわかる。


(1)この答えは、以下のように計算して求める。

これが(1)の解である。
ここで、この解を以下の解(10)に、対称な形の式に変形して問題を俯瞰する。


(2)先に求めた(1)の解を利用して以下の計算によって、パラメータαを求める。

この式で、0≦t≦1から、α>0だとわかる。

次に、パラメータβを求める。


次に、パラメータγを求める。


以上の計算で、以下の解が得られた。


(3)st平面上の点(s,t)の存在範囲を以下のように計算して求める。


この計算結果を使って、以下の図を描く。

ここで、交点Eの座標は、以下の計算で求めるが、その計算は計算用紙での計算に留めて、解答用紙には書かないでも良い。


(4)点Xが動く部分の面積S1を以下の図で描く。


この図から、面積S1:S2を求める。

(解答1おわり)

この解により、点P、Q、Rが以下の図の関係にあると理解できる。


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2023年11月21日火曜日

ベクトルで楕円の2つの接線の交点を求める

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 原点Oを中心にするX軸方向の半径をaとしY軸方向の半径をbとする楕円に対して、
その楕円上の点A(x1,y1)から引いた接線と、
点B(x2,y2)から引いた接線の交点P(x,y)の位置ベクトルを求めよ。


【解1】
楕円の方程式と接線の方程式を、ベクトルの内積の方程式に変換する。

これらのベクトルは、以下の図の関係にある。

ここで、以下の式が成り立つ。

また、ひし形の対角線の直交の公式から、以下の式が成り立つ。

この係数kを以下の計算で求めて、点P’の位置ベクトルを求める。

これから、点Pの位置ベクトルを求める。

(解1おわり)

(補足)
 こうして、解1によって、楕円の2接線の交点(極点P)の位置座標がベクトルの計算によって求められた。この計算を楕円の方程式から直に計算していくと、点Pの位置座標は求められはするが、この解の形とは異なる形の式であらわされる解が求められる。その解からは、点Pの位置が直線OM上にあることが直ぐには分からない。その解は、円の極の座標の解の変換の処理をして式の形を変換する必要がある。極点Pの解を求めるのは、点Pの位置が直線OM上にあることが直ぐに分かる形の式が最初に得られるので、以上のベクトルの計算をすることが望ましい。

 以下では、実際に楕円の方程式から直に計算すると、どのような計算になるかを、解2で示す。その計算において、その解の変換処理には、2重平行四辺形の面積の公式を使うかわりに、ひし形の対角線のベクトル変換の公式を使って、解の形を直接的に変換する。


【解2】




楕円を上図の円に写像して考える。
接点A’とB’とに、以下の式2と3が成り立つ。

楕円の接線の公式により、接点AとBとの2つの接線は、以下の式4と5であらわせる。

式4と5を連立させて、2つの接線の交点P(x,y)を求める。

この式(6)(7)から、点P’に対して以下の式(8)が成り立つ。

この式の各ベクトルは以下の式で定義されている。


ここで、ひし形の対角線のベクトル変換の公式により、以下の式(9)が成り立つ。

この式(9)を式(8)に代入して、以下の式を得る。

(第2の解おわり)


リンク:
円の極の座標の解の変換
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2023年11月19日日曜日

複素数平面で楕円の2つの接線の交点を求める

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問2】
 複素数平面上の原点Oを中心にする虚軸方向の直径を2とし実軸方向の直径を2aとする楕円に対して、
その楕円上の点zから引いた接線と、
点zから引いた接線の交点P0の位置ベクトルを複素数であらわせ。


【解答】
楕円の実軸上の寸法をa分の1にした円の問題に変換して問題を解く。




(接点の式)



(ベクトルOPとベクトルOMが平行である)

式(1)(2)より:



次に、楕円でのP0とM0の位置ベクトルを以下で計算する。


(解答おわり)

(補足)
 2接線の交点P0の位置ベクトルと、2接点の中点M0の位置ベクトルは平行である。

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円の極の座標の解の変換
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2023年11月11日土曜日

直交するひし形の対角線の方向のベクトル成分を計算する問題

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【問1】
 平面上のベクトルa,b,cの大きさが:

であり、以下の式(1)を満足する場合、

このときベクトルaとbの内積の最小値と最大値を求めよ。

《問題の本質》
 「内点のベクトル方程式から三角形の辺の長さを得る」問題では、ベクトル方程式のベクトルの個数が3つだけだったので、各ベクトルの内積の値が確定した。その理由は、未知数である内積の数が3つあるのに対する内積にかかわる方程式が3つ作れたからである。しかし、この問題は、4つのベクトルのベクトル方程式に係る問題である。そして、未知数である内積の数が6つある。その6つの未知数に対して、内積にかかわる方程式が5つ作れる。すなわち、方程式の数が未知数の数より1つ少ないため、未知数である内積の解に自由度が1つ存在する。

【解1】
 この解1は最初に考えた解ですが、後に書いた解3の解法を思い付けずに迷い道に入り込んで、やっとのことで解にたどりついた、迷子になった記録です。解1では、未知数である6つの内積に対して、4つの方程式しか無いという間違った認識がある。正しくは、5つの方程式がある。そのため、計算の迷い道に入り込んだ。この解は読まずに、解2以降を参考にすると良いと思います。

 先ず、以下のように単位ベクトルA,B,Cを用いて、問題の式を書き替える。

この式(2)が成り立つ場合には、以下の式(4)であらされる関係がある。すなわち、ベクトルの合成が単位ベクトルPに等しくなる式(4)の関係がある。
そして、式(5)が成り立つ。


 先ず、この式(5)から、ベクトルAの項の絶対値の2乗を与える式を計算する。

次に、ベクトルBの項の絶対値の2乗を与える式を計算する。

次に、ベクトルCの項の絶対値の2乗を与える式を計算する。

次に、ベクトルPの項の絶対値の2乗を与える式を計算する。

以上で求めた4つの方程式(7)(9)(11)(12)のうち、式(9)に注目する。

この式(13)は、単位ベクトルAとCの和の合成ベクトルとベクトルPの内積を計算する式である。
 ここで、単位ベクトルAとCの差のベクトルは、AとCの和のベクトルに直交する、ひし形の対角線の直交の公式が成り立つ。そのため、ベクトルPは式(14)のように、その直交ベクトル系の成分に分解できる。そして、ベクトルPの絶対値の二乗が式(15)で与えられ、その式を変形すると式(16)が成り立つ。

 以下では、この式(16)の項に代入する式(13)と対になる、もう1つの式を求める。すなわち、単位ベクトルAとCの差のベクトルとベクトルPの内積の式(17)を求める。

この式(17)のベクトルBとCの内積を、ベクトルAとCの内積の式に置き換える。

ここで、求めるべきベクトルAとBの内積の式を未知数xに置き換えてあらわし、ベクトルAとCの内積の式は変数tに置き換えてあらわす。

以上で求めたベクトルPの直交ベクトルの方向成分の項の式(18)と式(13)を式(16)に代入する。

この式(20)を変形して、未知数xを変数tであらわす。

(関数f(t)の微分の計算)
後で利用するために、関数f(t)のtによる微分を計算しておく。

(関数f(t)の概形の把握)

関数f(t)は、-(8t-1)(2t+1)に近い形であって、それを変形した、上に凸な形をしている。その形は、t軸上のt=-1/2の点と、t=1/8の点を直径の両端とする楕円に似た形である。


(場合1)

この場合の関数10xが最大になる極値は、関数10xの微分が0になる点であり、その点は、t=0の点である。その点での10xの値は、以下の値になる。


(場合2)

この場合の関数10xが最小になる極値は、関数10xの微分が0になる点であり、その点は、t=-2/5の点である。その点での10xの値は、以下の値になる。

以上により、ベクトルaとbの内積の最大値は16であり、最小値は8である。
(解1おわり)

【解2】
 先ず、以下のように単位ベクトルA,B,Cを用いて、問題の式を書き替える。

この式(2)が成り立つ場合には、以下の式(4)であらされる関係がある。すなわち、ベクトルの合成が単位ベクトルPに等しくなる式(4)の関係がある。
そして、式(5)が成り立つ。


 ベクトル群がこの式(5)を満足している場合に、ベクトルAとBの内積は最大値になる極値と最小値になる極値を持つ。
ベクトルAとベクトルBの内積の値が極値を持つ場合には、ベクトル群の各ベクトルを微小量変化させた場合に、ベクトルAとBの相対位置は、その微小量の2次の微小量しか変化しない。すなわち、他のベクトルが変化する微小量に比べて十分に小さい量しか変化しない。
 その状態において、固定したベクトルAとBの位置を基準にして、他のベクトルCとPが微小変化する様子を考える。
ベクトルPはベクトルPに垂直方向の微小量が変化する。それにともない、ベクトルCもベクトルCに垂直方向に微小量で変化する。そのベクトルPの微小変化とベクトルCの微小変化は、式(5)を満足するために、互いに打ち消し合う。
 それらの微小変化が互いに打ち消し合うために、ベクトルPとベクトルCが平行か反平行でなければならない。
その2つの場合を図示すると以下の2つの図になる。
(場合1)

(場合2)


この場合1と場合2では、ベクトルAとBの内積は以下の式で計算できる。
(場合1)

(場合2)

以上により、ベクトルaとbの内積の最大値は16であり、最小値は8である。
(解2おわり)

【解3】
 先ず、以下のように単位ベクトルA,B,Cを用いて、問題の式を書き替える。

この式(2)が成り立つ場合には、以下の式(4)であらされる関係がある。すなわち、ベクトルの合成が単位ベクトルPに等しくなる式(4)の関係がある。
そして、式(5)が成り立つ。


 この式(5)を以下の式に変形して計算する。

この式のベクトルAとBの内積の最大値と最小値を与えるベクトルCとベクトルPの関係が存在する。すなわち、両ベクトルが平行になる場合と、反平行になる場合が、式(5)を満足する解として存在する。よって、ベクトルaとbの内積の最大値は16であり、最小値は8である。
(解3おわり)

《補足1》
 ここで、以上の計算を、逆に、ベクトルCとベクトルPの内積の最大値と最小値を、ベクトルAとBの内積の大きさから求めることはできない。なぜならば、ベクトルAとBの両ベクトルが平行な場合は式(5)を満足せず、両ベクトルが反平行な場合も式(5)を満足しない。そのため、ベクトルAとBの内積の大きさの範囲がわからないからである。
 ベクトルAとBの内積の大きさの範囲は、解3の計算のように、ベクトルCとベクトルPの内積の大きさの範囲(-1から1までのフル範囲)を使って求めるものである。

《補足2》
 ベクトルの内積の全貌を俯瞰すると、以下の5つの種類の方程式が作れる。

 この問題では、未知数である内積の数が6つある。その6つの未知数に対して、内積にかかわる方程式が5つ作れる。この認識が重要である。そして、この問題では、方程式の数が未知数の数より1つ少なく、未知数である内積の解に自由度が1つ存在する。

《自力で問題を解くべき》
 補足2の知識が無かった視野の狭さが、解1の迷い道に進んだ原因だった。自力で問題を解き、自分の解き方を分析して、以上の補足1と補足2の知識を見いだして覚えることが、数学を学ぶ秘訣だと思う。

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