2016年11月30日水曜日

2角のコサインと1辺が定まった三角形を計算する解答

これは、ここをクリックした先のページの問題の解答です。

【問1】
上図の三角形ABCの長さaを求めよ。

【楽な解き方】
先ず、以下の補助線を引く。
長さCDと高さhを計算する。
計算した長さCDと高さhをの値を図に書き込む。
次に、長さABを計算する。
計算した長さABの値を図に書き込む。
次に長さBDを計算する。
これで、a=長さBC=2が求められた。
(解答おわり) 

【もっと楽な解き方】
下図のように、正弦定理で長さcを計算します。
cをこの式で計算するために、sinBとsinCを計算します。
sinBとsinCを使って、cを計算する。
計算結果の長さcを図に書き込む。
次に補助線ADを引く。
次に、BDとDCの長さを計算する。
(解答おわり)

【なぜ、残りの∠Aのコサインが分からないのか】
∠Bと∠Cが分かっているので、残りの角Aが、
∠A=π-∠B-∠C
で直ぐに分かるハズです。

「この問題では、なぜ、三角形の残りの角である∠Aのサインかコサインが直ぐにわからないのか?」
と、この問題の解き方に理不尽さを感じたと思います。

残りの角Aについては、
という公式があります。
これは、「加法定理」と呼ばれていて、
高校2年で学びます。

高校2年で学ぶ内容ではありますが、参考のために、上の解答の解き方を繰り返すことでsinAに関する加法定理を証明してみます。
(証明開始)
正弦定理を使って上図のcとaをbであらわします。
(証明おわり)

(補足)加法定理が上の解答の解き方を利用して導けたので、上の解き方こそ、加法定理の基礎である、大切な意味を持つことが分かります。 

【2角がわかっているその他の問題の解】
cosBとcosCが分かっていて、どれか1辺の長さが決まっている問題の場合:
先ず、以下の三角形の3辺の比を計算する。
その結果得た3辺の長さの比を使って残り2辺の長さを定める。

更に、sinAも求める必要がある場合は:

(1)辺の長さbの値とsinBの値を使って半径の長さRを計算する。

(2)辺BCの長さaと、
sinA=a/(2R)
の式を使って、 sinAを計算する。 

その場合に、
sinA=sinBcosC+sinCcosB
になることがもう分かっているので、遠回りな余分な計算をしないように工夫してsinAを計算すれば良いと思います。

【再度、加法定理を証明する】
以下の様に三角形の各辺の正弦定理を使うと、加法定理が導き出されます。
そして:
sin(π-B-C)=sinC・cosB+sinB・cosC ,
sin(B+C)=sinC・cosB+sinB・cosC ,
(加法定理の導出おわり)

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2016年11月29日火曜日

余弦定理を使って長さを求める解答

これは、ここをクリックした先のページの問題の解答です。

【問1】
上図の三角形ABCの長さaと∠B=βを求めよ。

【解答】
先ず、3辺の2乗を使う余弦定理を用いて、長さaを計算する。
これで、第1の問題のaの値が、
a=2  (答えその1)
と求められた。
この結果を図に書き込みます。
この図を見て、直ぐ分かる寸法を以下の様に書き込みます。
この図を見ると、角Bの計算は、以下の様に楽に計算できることがわかります。
(解答おわり)

【もっと楽な解き方があるのではないか】
この問題を解いたことで、
「楽に計算ができる補助線がある。」
ことが分かりました。

それならば、初めからこの補助線を使えばもっと楽に計算ができるではないかと考えますので、以下のように、初めにaを求める求め方を試してみます。

【解答はじめ】
先ず、以下の様に補助線を引きます。
次に、分かる寸法を書きこみます。
更に分かる寸法を書きこみます。
更に分かる寸法を書きこみます。
これで、問題の全ての答えが得られた。
(解答おわり)

(補足)
 この解き方を高校生が知ると、毎回この解き方で解き、余弦定理を使わないので、余弦定理を覚えさせるためにこの解き方は高校の先生には望まれていないようです。
 しかし、真剣勝負の場では、すなわち大学受験や、校外の模擬試験では、もちろん楽な解き方の方が良いので大いに使ってください。
 また、余弦定理を覚える(導き出す)には補助線が以下の図の線分CDの様に係ってきますので、補助線が本質的に大切ですので、補助線を使う作業を大切にしてください。

(余弦定理の導出)
(余弦定理の導出おわり)
 以上の計算の様に、補助線CDを使って2つの直角三角形を作り、それらを利用して余弦定理を導きます。

(余弦定理の導出(その2))
 計算の途中の式を、三角形の辺の二乗の引き算の公式として覚えて、以下の図と式を書いて拡張三平方の定理を思い出したら良いと考えます。
 (以上が、拡張三平方の定理)

【三角形の辺の二乗の引き算の公式】
 (以上が、辺の二乗の引き算の公式)
 この、三角形の辺の二乗の引き算の公式は、以下の図の正方形①②③を心が思い描いて心が公式を導き出すので、覚え易い(導き出し易い)です。
(公式を自力で導き出す勧め)
 覚えた定理は時が経つと忘れてしまいます。
 最初教えられた時には覚えていたのに、時がたつと忘れている事に気づき、最初に覚えた記憶が戻らない。ただ覚えているだけの公式を何回思い出しても、だんだん記憶が劣化し思い出した公式に疑問を抱き公式を忘れていきます。
 新しい公式を知ると、その新しい公式を覚えるために、その新しい公式に似ている旧くから覚えていた公式は、新しい公式を覚える必要のため、忘れ去られます

 数学の公式は覚えられない(時が経つと忘れる)ので、公式を導き出して使う練習をしましょう。
 公式を自力で導き出して再現できる学生は、自己発電ができるパソコンのようで、自力で公式を導き出す都度、公式の理解が深まり、記憶を維持するエネルギーが発電され、いつまでも記憶が保たれます。
 公式を忘れないようにするには、自力で公式を導き出す作業が欠かせません。公式を使う都度、自力で導き出すことを覚えて欲しいと思います。公式を自力で導き出すために、図に補助線を書く習慣を欠かさないようにしましょう。 

 なお、余弦定理を思い出す毎に、以下のように、「2項の積と二乗の差との変換公式」を使って、三角形の辺の二乗の引き算の公式に変換できる事を確認することで、思い出した記憶に間違いが無い事を確認してください。

(結論)
 余弦定理も、余弦定理を使って導き出すその他の定理も、等しく、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使って導き出すようにしましょう。

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2016年11月27日日曜日

余弦定理を使って角度を求める解答

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【問1】
三角形ABCの3辺の長さが上図の値の場合に、3つの頂角を求めよ。

【解1】
先ず、3辺の2乗を使う余弦定理を用いて、1つの角度のコサインを計算する。
これで、∠A=45°であることが求められた。

他の角度の計算方針は:
(1)また余弦定理を使って他の角を計算するのは、同じ手間がかかる。もっと楽をしたい。
(2)角度Aが分かったことを最大限に利用して、
以下の様に、Aを頂点にする直角三角形を書き加えて長さを書きこむ。
その長さを利用して他の角度を速やかにもとめる。
上図の様に、角A(あるいは角Aの外角)を1つの頂角とし、
その辺上に点Bを含む直角三角形を描く。
そうすれば、角Bがすぐわかる様になる。
この図を見ると
cos(180°-∠B)=1/2
である。そのため、
180°ー∠B=60°だとわかる。
どんどん図に書き込んでいく。
これで全ての角度が速やかに求められた。
(解1おわり)

《補足》
角Bが最初に求められた場合も、
下図の様に、角Bの外角を1つの頂角とし、
その辺の延長線上に点Aを含む直角三角形を描く。
そして、その直角三角形の各辺の長さを書く。
そうすれば、角Aがすぐわかる様になる。

【解2】2番目に簡単な解き方
最初に余弦定理を使うのも面倒なので、以下の図の様に直角三角形ADCを書き加えて、その直角三角形の各辺を、方程式で求める。

こうして、簡単な1次方程式で1つの長さが求められた。
(注意)
上の方程式の計算は、「拡張三平方の定理」を再度導出しているだけです。そのため、上の方程式の代わりに拡張三平方の定理を使って計算しても良い。
こうして1つの長さが求められたので、それを使って、他の長さも計算して図に書き加える。
この図の直角三角形BDCの辺の長さから、
∠B=120°
が求められ、
直角三角形ADCの辺の長さから、
∠A=45°
が求められた。
残りの頂角Cは、
∠C=180°-∠A-∠B
=15°
(解2おわり)

【解3】一番簡単な解き方
三角形の辺の2乗の引き算の公式(根元的な公式)を使って、以下のように解くこともできる。



(解3おわり)


【問2】
三角形ABCの3辺の長さが上図の値の場合に、3つの頂角を求めよ。

【解答】
この問題も一番簡単な解き方で解きます。
追加する直角三角形の直角頂点Dは、複雑な式で書かれている辺(の延長線)上に置くと良いようです。

(注意)
上の方程式の計算は、「拡張三平方の定理」を再度導出しているだけです。そのため、上の方程式の代わりに以下の形の余弦定理を使って計算しても良い。
上の図の各直角三角形の辺の値から、
∠A=45°
∠B=60°
∠C=180°ー∠A-∠B=75°
(解答おわり)

【別解】
この問2の解き方で、D点以外の点を設定して計算を始めたらどうなるかという疑問があると思います。
その場合に、どういう計算をすれば良いかの解答例を以下に書きます。
上図のようにE点を設定して計算して行き、
途中で、やはりD点を設定して計算した方が良かったと気付いて、計算の方向を修正して、
その計算の軌道修正をしてもほとんど無駄の無い計算を行う方法を示します。 
(解答開始)
余弦定理から:
上図の計算で長さAEを計算した答えが複雑だったので、
計算の軌道修正をして長さADも計算しました。
ADの計算では、AEを計算した途中結果を使って速やかに計算ができました。
上図の様にAEの値とADの値を図に書き込むと、BDの長さが簡単なので∠Bは簡単な角度になることが分かります。
それで、∠Bを求めるために長さDBを計算します。
DB=1なので、∠Bの値が簡単に求められ、
∠B=60°
がわかります。
また、AD=√3なので、
∠A=45°
もわかります。
残りの角度の、
∠C=180°ー∠A-∠B=75°
です。
(解答おわり)

(補足1)
 この別解では、長さAD、BD、CEを求めましたので、補助に作成した直角三角形の辺の長さの関係を使って全ての頂点の角度が計算できます。
 このことから、複雑な式で長さがあらわされた辺ABに対向する頂点C以外の頂点A、Bのどちらに注目しても良い。頂点Aから計算を始めても、頂点Bから計算を始めても、この別解の計算をすれば、全ての頂点の角度が楽に計算できることが分かります。
 すなわち、計算を楽にするためには、
(1)複雑な式で長さがあらわされた辺ABのどちらかの頂点A又はBに注目して計算を始めて、
(2)辺ABを含む直線上に頂点Cから垂線を下ろして交点Dを設定する、
ことが計算が一番楽な計算になる、良い計算方針だと思います。

(補足2)
 補助線を利用する解き方を高校生が知ると、毎回この解き方で解き、余弦定理を使わないので、余弦定理を覚えさせるためにこの解き方は高校の先生には望まれていないようです。
 しかし、真剣勝負の場では、すなわち大学受験や、校外の模擬試験では、もちろん楽な解き方の方が良いので大いに使ってください。
 また、余弦定理を覚える(導き出す)には補助線が以下の図の線分CDの様に係ってきますので、補助線が本質的に大切ですので、補助線を使う作業を大切にしてください。

(余弦定理の導出)
(余弦定理の導出おわり)
 以上の計算の様に、補助線CDを使って2つの直角三角形を作り、それらを利用して余弦定理を導きます。

(余弦定理の導出(その2))
 計算の途中の式を、三角形の辺の二乗の引き算の公式として覚えて、以下の図と式を書いて拡張三平方の定理を思い出したら良いと考えます。
 (以上が、拡張三平方の定理)

【三角形の辺の二乗の引き算の公式】
 (以上が、三角形の辺の二乗の引き算の公式)
 この、三角形の辺の二乗の引き算の公式は、以下の図の正方形①②③を心が思い描いて心が公式を導き出すので、覚え易い(導き出し易い)です。
(公式を自力で導き出す勧め)
 覚えた定理は時が経つと忘れてしまいます。
 最初教えられた時には覚えていたのに、時がたつと忘れている事に気づき、最初に覚えた記憶が戻らない。ただ覚えているだけの公式を何回思い出しても、だんだん記憶が劣化し思い出した公式に疑問を抱き公式を忘れていきます。
 新しい公式を知ると、その新しい公式を覚えるために、その新しい公式に似ている旧くから覚えていた公式は、新しい公式を覚える必要のため、忘れ去られます

 数学の公式は覚えられない(時が経つと忘れる)ので、公式を導き出して使う練習をしましょう。
 公式を自力で導き出して再現できる学生は、自己発電ができるパソコンのようで、自力で公式を導き出す都度、公式の理解が深まり、記憶を維持するエネルギーが発電され、いつまでも記憶が保たれます。
 公式を忘れないようにするには、自力で公式を導き出す作業が欠かせません。公式を使う都度、自力で導き出すことを覚えて欲しいと思います。公式を自力で導き出すために、図に補助線を書く習慣を欠かさないようにしましょう。

 なお、余弦定理を思い出す毎に、以下のように、余弦定理と等価な拡張三平方の定理が、「2項の積と二乗の差との変換公式」を使って、三角形の辺の二乗の引き算の公式に変換できる事を確認することで、思い出した記憶に間違いが無い事を確認してください。

(結論)
 余弦定理も、余弦定理を使って導き出すその他の定理も、等しく、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使って導き出すようにしましょう。

リンク:
高校数学の目次