2017年1月11日水曜日

2重条件の条件付き確率の解答

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問題】(難問)
 イベント1で、赤コイン1つと白コイン1つが入っている袋から1つのコインを机の上に取り出しコインの色とコインの面が表か裏かを記録してコインを袋に戻す。そしてイベント2で再度、同じことを繰り返してコインの色とコインの面が表か裏かを記録した。
 その2回のイベントで少なくとも1回は、白コインでコインの面が表であるコインが記録された。
 こうなる条件のもとで、この2回のイベントの2回とも、袋から取り出したコインが白コインであった条件付き確率を求めよ。

【解答】
先ず樹形図を書いて問題を整理する。
この樹形図を使うことで、 
この2回のイベントの2回とも、袋から取り出したコインが白コインであった条件付き確率Pは:
(解答おわり)

【別解】
2重条件の関心順を変えた以下の樹形図を書いて問題を解くこともできます。
この樹形図を使うことで、 
この2回のイベントの2回とも、袋から取り出したコインが白コインであった条件付き確率Pは:
 (解答おわり)

(補足)
 別解の樹形図が複雑になって解答に苦労した理由は、問題の関心が、コインの面の表裏よりも白コインであるかどうかに重点が置かれていることに逆らって、関心の低いコインの面の表裏を最初にして樹形図を書いたからです。

リンク:
高校数学の目次


2017年1月9日月曜日

条件付き確率の入試問題9解答

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問題】
 5回に1回の割合で帽子を忘れるくせのあるK君が、正月にA,B,Cの3件をこの順に年始まわりをして家に帰ったとき、帽子を忘れてきたことに気がついた。2番目の家Bに忘れてきた確率を求めよ。
(1976年 早稲田大)


【解答】
先ず樹形図を書く。
この樹形図を使うことで、 
2番目の家Bに忘れてきた条件付き確率は以下のように計算できる。
(解答おわり)

リンク:
高校数学の目次


2017年1月6日金曜日

条件付き確率の入試問題10解答

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問題】
 奇数の目の面が青色で、偶数の目の面が赤色であるさいころが2個ある。
この2個のさいころを同時に投げたとき、
出た目の数の和が9以上であるという条件のもとで出た目の面が同じ色である確率を求めよ。
(2004年 東京電機大)


【解答】
先ず、以下の部分樹形図を頭の中で考える。
組み合わせの数を、樹形図の枝の束の数と考える。
頭の中で想像したこの部分樹形図が大きすぎると思ったら、以下の様に簡略化した部分樹形図を紙に書く。
 出た目の面が同じ色の場合は、目の合計が偶数の場合である。
この部分樹形図を使うことで、 

目の数の和が9以上である条件のもとで、
出た目の面が同じ色である確率=4/10=2/5である。
(解答おわり)

(補足)
この解答の部分樹形図は、以下の様な基本樹形図の枝の束を表現したものです。
 この基本樹形図は、大きすぎるので解答用紙に書くことができませんが、頭の中では基本樹形図を思い描くようにして下さい。

リンク:
高校数学の目次


2017年1月1日日曜日

モンティ・ホール問題の解答

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問0】(難問)
 プレーヤーの前に閉まった3つのドアがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、2つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえる。
 

(場合1)
 プレーヤーが1つのドアを選択した後、
プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず、正解ドアを知っている司会のモンティが、プレーヤーがドアを選んだ後に、残りのドアのうち必ずヤギがいる1つのハズレのドアを間違えずに開けてヤギを見せる。
そして、プレーヤーには必ず、最初にプレーヤーが選んだ1つのドアを、こうして正解を知っているモンティが抽出して残した1つドアに変更してもよいと許可するルールである。
プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?
 

(場合2)
 プレーヤーが1つのドアを選択した後、選択されたドアに鍵がかけられた。
そうしたらもう1人のプレーヤーが間違えて、ドアを開こうして、鍵がかかっているドアは開かないので、鍵がかかっていない残りの2つのドアのうちの1つを開けてしまった。
その開けられたドアの後ろにはヤギがいた。

(そういう場合が偶然発生した後の事象を前提にする)
 ここでプレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている、1つのドアに変更してもよいと言われた。
(これは、このような突発事故が起きた場合には、プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず許可するルールになっていた)
プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?

(場合3)

 当事者プレーヤーが1つのドアを選択した後、選択されたドアには鍵をかけなかった。
そうしたら他人のプレーヤーが間違えて、ドアを開けてしまった。そのドアは、たまたま当事者プレーヤーが選んだドア以外のドアだった。
その開けられたドアの後ろにはヤギがいた。

(そういう場合が偶然発生した後の事象を前提にする)
 ここで当事者プレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている、選ばれていないドアに変更してもよいと言われた。
(これは、このような突発事故が起きた場合には、プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず許可することになっていた)
プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?

(1990年9月9日発行、ニュース雑誌 Parade)

【解答方針】
 この問題は、モンティ・ホール問題と呼ばれていて、その解答が誤りだとする大論争が起きた問題です。

 場合1では、司会者の行動は偶然の行為の結果では無く、司会者が、意識的に、まだ選ばれていない残りのドアのハズレの可能性を低くした点に特徴があります。

 この問題は、難しいので、先ず類似の分かり易い問題を解いてみます。

【分かり易しくした問題1】
 プレーヤーの前に閉まった10のドアがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、9つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえる。

(問題1の場合1)
 プレーヤーが1つのドアを選択した後、
プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず、正解ドアを知っている司会のモンティが、プレーヤーがドアを選んだ後に、残りのドアのうち必ずヤギがいる8つのハズレのドアを間違えずに開けてヤギを見せる。
そして、プレーヤーには必ず、最初にプレーヤーが選んだ1つのドアを、こうして正解を知っているモンティが抽出して残した1つドアに変更してもよいと許可するルールである。
プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?

【問題1の場合1の解答】
 この問題が出た当初に大論争が起きたのは、おそらくこの問題が、戦略・ゲームの問題として出題され、そのゲームのルールが不明であったためと考えられます。
 「正解を知る司会者(元締め)による、ハズレドアBの開示行為が、プレーヤーと勝負している司会者(元締め)を勝たせる戦略として最善の行為であると考えなさい。」という問題であるならば、
とても、以下の説明の様な簡単な答えは出せないと考えます。

 しかし、先の問題文の様に、司会者の行動を完全に定義したならば、問題は易しくなったと考えます。
(1)
 プレーヤーが選んだドアが正解である確率は、
である。
 そして、 プレーヤーが選んだドア以外の9つのドアのうちの1つが正解である確率は、
である。
(2)
 一方、正解ドアを知っている司会者がプレーヤーが選んだドア以外の9つのドアのうちから、間違いをせずに、8つのハズレのドアを除去する作業をして1つのドアだけ残すというドアの除去作業を行なう。
 この司会者による作業は必ず行なわれ、司会者がこれと違う行為を行なう/又は行なわないという事象は存在しない。

(この司会者の作業の結果はいつも同じ結果のハズレに定まっていて、正解ドアが開かれることは決して無いので、作業(事象)の実行により正解確率が消費される条件付き確率問題の条件が存在し無い。)

 その司会者の作業は、以下の様にして、プレーヤーが選ばなかった9つのドアのうちに正解のドアがある場合に、その正解のドアがどれであっても残す、正解の抽出作業である。

(2-1)プレーヤーが選ばなかった9つのドアのうちいずれか1つのドアが正解であるならば、その正解であるドアを残し、
(2-2)あるいは、プレーヤーが選んだドア以外の9つのドアが全てハズレであるならば、正解では無い1つのドアのみを残し、それ以外のハズレのドアを明確にして除外する、
注意深く選別する確実な作業を行なう。

 その作業の結果は、残された1つのドアが正解である確率は、元の9つのドアの集合全体のうちの1つが正解である確率を引き継ぎ、確率が
である。
(3)
  プレーヤーが選んだドアが正解である確率
は、この司会者の操作の結果によって変わらない。
(その理由は、正解ドアを知っている司会者から見て、ドアAの正解確率が変わらないからである。)
実際、このプレーヤーが選択したドアの正解確率(1/10)と、

司会者が残した1つのドアの正解確率
の和は1であるので、以上の計算は誤っていない。
(4)
 よって、場合1では、
正解を知っている司会者が開くことが出来る司会者の影響力の圏内で、司会者によって抽出されて残された1つのドアが正解である確率は、
(司会者以外の者から見たら)
司会者が抽出した1つのドアに正解の確率を凝縮したので、
プレーヤに選ばれた1つのドアが正解である確率よりも、
9倍高い正解確率になる。 
(場合1の解答おわり)

なお、司会者から見れば、単に、正解のドアを残しただけであり、どのドアが正解であるかは初めから決まっていて、それは変化しない。また、正解を知っている司会者から見れば、プレーヤーに選ばれた1つのドアに比べて、それ以外の9つのドアの集合内では、ドア数に比例して正解のドアが存在する確率が高いことが分かる。)

(補足)
 ここで、司会者がハズレのドアを開いた場合に、残りのドアは、プレーヤーが選んだ1つのドアと司会者が残した1つのドアとの2つのみになる。そのうち1つのドアがハズレで、1つのドアが正解の状況になる。その状況を見て、「未だ開いていない2つのドアは、平等に正解の確率が1/2にリセットされる。」と誤解する人が多いそうです。

 そのように誤解する人に対しては、
正解の確率は、いつでも平等に、未だ開いていない2つのドアに割り振られる原理があるわけではない。「場合1」における司会者の操作の結果の様に、未だ開いていない2つのドアに異なる割合で正解の確率が割り付けられる場合がある。」と返答したい。

《3つのドアの場合において、無作為にドアBを開くとき》
 ドアBが開かれる事象Bが発生すると、その事象が残りのドアAとCの正解確率に与える影響を定める原理は、以下の様に働くと考えられます。
ドアBが開かれる以前のドアAとBとCの正解確率を、Pa(A) 、Pa(B) 、Pa(C)で定義する。 

(1)ドアBを開いてドアBが正解である場合、ドアBが開かれた後のドアAとBとCの正解確率Pb(A) 、Pb(B) 、Pb(C) は、
Pb(B)=1,
Pb(A) +Pb(C)=0,
になる。
(2)ドアBを開いてドアBがハズレである場合、ドアBが開かれた後のドアAとCの正解確率 Pb(A) 、Pb(C) は、ドアを開く以前の確率Pa(A)とPa(c)を引き継いだ:
Pb (A)=Pa(A)/(1-Pa(B))
Pb (C)=Pa(C)/(1-Pa(B))
Pb(A) +Pb(C)=1,
で計算できる。
 ここで、 (1-Pa(B))で割り算するのは、ドアBの正解の可能性Pa(B)が明きらかに消えた後の残りのドアの正解の可能性を考えるためである。
 ここで注目する点は、 ドアBの正解の可能性Pa(B)が明きらかに消えた前後において、ドアAとドアCの正解の可能性の比が変わらないことです。
 ハズレが明らかになったドアの正解確率は、残りのドアの正解確率の保有割合に応じて割り振られるのであって、正解確率は実在のドアの個数に単純に均等に割り振られてはいないのです。

 この無作為にドアBを開ける操作を複数回繰り返し行なうと、いくつかの場合では、ドアBが正解であって、その正解ドアBが開かれる事に注目すべきです。実際に、一部の正解ドアが開かれるので、残りのドアの正解確率の総和が1より小さくても不自然な事はありません。そのように当然に1より小さい正解確率を1に合わせ込んだのが「条件付き確率」です。
そのように、「条件付き確率」は、確率を多めに考えるという約束事に従って、開けられず残ったドアの確率が増えたように見せているだけなので、「絶対的な確率値は変わっていない」という視点で考えることもできます


《3つのドアの場合において、ハズレである場合に限ってドアBを除去するとき》
 ドアBがハズレであることを知る司会者がドアBを除去した場合の後のドアAとCの正解確率 Pc(A) 、Pc(C) は、以下のようになる。
(A)司会者が除去する対象外(影響圏外)のドアAの正解確率は、
Pc (A)=Pa(A)
であり確率が変わらない。
(その理由は、正解ドアを知っている司会者から見て、ドアAの正解確率が変わらないからである。) 
(C)司会者が除去する対象だったのに除去しなかった(あるいは除去できなかった)ドアCの正解確率は、
ドアAとは条件が異なり、
Pc (C)=Pa(B)+Pa(C)になる。

(その理由は、正解ドアを知っている司会者から見て、残りドアCの正解確率は、ドアBの正解確率と合わさり、ドアAの正解確率の2倍程度に増えるからである。ドアCの正解確率が大きくなった事の司会者の”感触”は、ドアCが正解である故に除去できない(その時はドアBを除去する)事態が頻繁に発生することから得られる。) 
Pc(A) +Pc(C)=1,
が成り立つ。

 ここで注目する点は、ドアBとドアCの集合から正解ドア候補Bを(それがハズレの場合に限って)除去する操作を行なうと、除去したドアBが持っていた正解確率が残ったドアCの正解確率に加えられることです。

 これは、正解ドアを知っている司会者から見れば、ドアBとドアCから、不正解(ハズレ)と分かっているドアを除去することで、正解可能性を絞り込む操作をしたのです。

 この操作には、以下の特徴があります。この操作を状況を変えて繰り返し行なう繰り返しの特徴は、いつも同じドアBが除去されるわけでは無い(ドアBが正解の場合には除去されない)こと。除去されるドアが状況により変わる、除去ドアが定まらない不定性があるという特徴があります。


 また、この操作を複数回繰り返す複数の場合を考えてこの操作を記述すると、
「プレーヤーが選択したドアAには手を加えず、
(b)ドアBが正解の場合に、ドアBを残しドアCを除去し、
(c)ドアCが正解の場合に、ドアCを残しドアBを除去し、
(a)ドアAが正解の場合に、ドアCを残しドアBを除去するか、又は、ドアBを残しドアCを除去する。」
この(a)(b)(c)3回の場合に、
プレーヤーの選択ドアAが正解になるのは1回なので、選択ドアAの正解確率は3分の1である。
また、司会者に残された(不定性がある1つの)ドアB又はCが正解になるのは2回なので、司会者に残された(不定性がある1つの)ドアB又はCの正解確率は3分の2である。
と、記述できる。

   この司会者による操作は、正解ドアが分からない者には、除去ドア不定性の有るドアの集合内にボンヤリと分散していた正解確率を、除去ドア不定性集合内の1つのドアC(それはいつもCだと決まっている分けでは無い不定性がある)に集中させたのです。そのため、ドアCの正解確率が上がったのです。


 このように、正解ドアを知っている司会者は、除去ドア不定性で特徴付けられた集合のドアの正解確率を(不定性がある)少数のドアに集積させる確率の濃縮・抽出操作を行なうことができます。 
 それに対して、正解ドアを知らない者が行なえる操作は、所定のドアを開けてそのドアが偶然にハズレの場合に、残りの全てのドアの正解確率を(見かけ上では)上げるか、あるいは、偶然に正解ドアを開けることで、その正解ドアの正解確率を1に上げる操作だけです。

(以上の説明をまとめると)
 すなわち、「司会者の操作の影響圏外のドアが正解になる確率は、司会者の行為によって勝手にリセットされるわけではなく、その確率が変わるように見える特別な機構に従って変化する。特に、初めから正解ドアを知っている司会者が見て変わらない状況は、変わらない。」と返答したいと思います。

 その「確率が変わるように見える特別な機構」 を、「場合2」と「場合3」で詳しく説明します。
 この「場合2」や「場合3」のように明確な手続きに従って、「条件付き確率のみかけの変化」が導き出されるのであり、その手続き無しで勝手に確率が変化すると考えるのは早計だと思います。

(問題1の場合2)
 プレーヤーが1つのドアを選択した後、選択されたドアに鍵がかけられた。
そうしたらもう1人のプレーヤーが間違えて、ドアを開こうして、鍵がかかっているドアは開かないので、鍵がかかっていない残りの9つのドアのうちの8つを開けてしまった。
その開けられた8つのドアの後ろには偶然に、全てヤギがいた。

(そういう場合が偶然発生した後の事象を前提にする)
(そういう場合が偶然発生した場合を条件にする条件付き確率の問題である。)
 ここでプレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている、1つのドアに変更してもよいと言われた。
(これは、このような突発事故が起きた場合には、プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず行なうルールであった。
また、正解ドアが開けられてしまった場合は、このイベントを中止するルールであった。)
プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?
【場合2の解答】
 場合2では、正解のドアが開かれてしまう事象以外の事象の後の場合であることを大前提にしている。
 そのため、正解のドアが開かれる事象を含む事象の確率は、確率計算の前提から除外して計算しなければならない
(1) 鍵がかかっているドアが正解の場合:
 鍵がかかっているドアが正解の場合には、
残りのドアを8つ開かれても、当然に、全て外れになる。
その場合の確率は、
鍵がかかっているドアが正解である確率であって、

である。
(2) 残りのドア9つのうちの1つが正解の場合:
 残りのドア9つのうちの1つが正解の場合であって、
そのうち8つ開かれるドア全てが外れる場合の確率は、

である。
(3) 正解のドアが開かれてしまう場合:
 残りのドア9つのうちの1つが正解である場合に、8つ開かれるドアのうちに正解ドアが含まれてしまう確率は、(2)の場合の、8つが全て外れる場合の余事象であるので、
である。
(1)と(2)と(3)の確率を足すと1になるので、以上の計算は誤っていない。
(4)
 ここで、この(3)の場合を除外して、正解のドアが開かれてしまう事象以外の事象の後の事象を前提にすると、
条件付き確率の問題を解くと、)
(4-1)
 鍵がかかっているドアが正解の場合の、問題の(正解ドアが開かれ無かった場合の)条件付き確率は
である。
(4-2)
 残ったドアが正解の場合の、問題の(正解ドアが開かれ無かった場合の)条件付き確率は
である。 
よって、場合2では、選ばれたドアが正解である確率と残り1つのドアが正解である確率が等しい。

(問題1の場合3)
 当事者プレーヤーが1つのドアを選択した後、選択されたドアには鍵をかけなかった。
そうしたら他人のプレーヤーが間違えて、8つのドアを開けてしまった。そのドアは、たまたま当事者プレーヤーが選んだドア以外のドアだった。
しかも、偶然に、その開けられた8つのドア全ての後ろにはヤギがいた。
(そういう場合が偶然発生した後の事象を前提にする)
(そういう場合が偶然発生した場合を条件にする条件付き確率の問題である。)
 ここで当事者プレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている、選ばれていないドアに変更してもよいと言われた。
(これは、このような突発事故が起きた場合には、プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず行なうルールであった。
また、正解ドア又は当事者プレーヤーが選んだドアが開けられてしまった場合は、このイベントを中止するルールであった。)
プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?
【場合3の解答】
 場合3では、正解のドア又は選択されたドアが開かれてしまう事象以外の事象の後の場合であることを大前提にしている。
 そのため、正解のドアが開かれる事象又は選択されたドアが開かれる事象を含む事象の確率は、確率計算の前提から除外して計算しなければならない
(1)
 選択されたドアが正解である場合に、そのドアが開けられない確率は、
である。 
(2)
 当事者プレーヤーに選ばれていないドアが正解である場合に、
選択されたドアが開けられもせず、
かつ、正解のドアが開かれない確率は、
である。
(3-1)
 選ばれたドアが正解である場合に、8つ開くドアのうちにその正解ドアが開かれてしまう確率は、(1)の場合の、8つが全て外れる場合の余事象であるので、
である。
(3-2)
 残りのドア9つのうちの1つが正解である場合に、8つ開くドアのうちに、正解ドアまたは当事者プレーヤーに選択されたドアが開かれてしまう確率は、(2)の場合の、8つが全て外れる場合の余事象であるので、
である。
(1)と(2)と(3-1)と(3-2)の確率を足すと
になるので、以上の計算は誤っていない。
(4)
 ここで、この(3)の場合を除外して、正解ドア又は当事者プレーヤーが選んだドアが開かれてしまう事象以外の事象の後の事象を前提にすると、
条件付き確率の問題を解くと、) 
(4-1)
 選択されたドアが正解の場合の、問題の(正解ドアも選択ドアも開かれ無かった場合の)条件付き確率は
である。
(4-2)
 選択されたドア以外の残ったドアが正解の場合の、問題の(正解ドアも選択ドアも開かれ無かった場合の)条件付き確率は
である。
よって、場合3では、選択されたドアが正解である確率と残り1つのドアが正解である確率が等しい。
(解答おわり)

【問題0の解答】
(場合1)
 場合1では、ドアBがハズレであることを知る司会者が、プレーヤーが選択したドアAには手を加えず、
(a)ドアAが正解の場合に、ドアCを残しドアBを除去するか、又は、ドアBを残しドアCを除去する。
(b)ドアBが正解の場合に、ドアBを残しドアCを除去し、
(c)ドアCが正解の場合に、ドアCを残しドアBを除去し、

この(a)(b)(c)3回の場合に、
プレーヤーの選択ドアAが正解になるのは1回なので、選択ドアAの正解確率は
である。

 一方、司会者に残された1つの残留ドア(B又はC)が正解になるのは2回なので、司会者に残された1つの残留ドア(B又はC)の正解確率は
である。

 よって、プレーヤーに選択された選択ドアAよりも、残り1つの残留ドア(B又はC)が正解である確率が高い。

(場合2)
 ドアBが開かれる以前のドアAとBとCの正解確率を、Pa(A) 、Pa(B) 、Pa(C)で定義する。 

(1) ドアBを開いてドアBが正解である場合:
 このイベントは中止される。
(2) ドアBを開いてドアBがハズレである場合:
 ドアBが開かれた後で、
選択ドアAは、正解確率 Pa(A)を維持する。
残留ドアCは、正解確率 Pa(C)を維持する。
 Pa(A)=Pa(C)であったため、
プレーヤーに選択された選択ドアAが正解である確率と残りの残留ドアCが正解である確率が等しい。

(場合3)
 問題1の場合3と同様にして、
選択されたドアが正解である確率と、
残りの1つの残留ドアCが正解である確率は、等しい。
(解答おわり) 

(補足)
 ここで、「場合1」の考察において、司会者がハズレのドアを開いた場合に、残りのドアは、プレーヤーが選んだ1つのドアと司会者が残した1つのドアとの2つのみになる。その状況の場合に、「未だ開いていない2つのドアは、平等に正解の確率が1/2にリセットされる。」と誤解する。

(問題0の「場合1」の正解の理解を妨げる原因)
 そのように誤解する人は、必ずしも「リセットされる」とは考えていなくて、そう誤解する根拠が、以下の原理を経験的に知っていていることにあるのではないか。その経験へのこだわりによって、なかなか「場合1」を理解できないのではないかと考えます。
(確率を計算する際に使える便利な原理(公式))
 どのドアが正解ドアであるかという「正解事象グループ」と、(正解ドアを知らない者が)ドアの正解の当否を確認するためにどのドアを開くかという事象グループとは独立していて、両者の事象グループの要素の事象の間に依存関係は無く、それらの要素の事象は全く独立に無作為に発生する。
 そのように、事象グループが独立な場合は、上図のように、「ドアの正解の当否を確認するためにドアBを開く 」という行為に対して、「正解事象グループ」の事象は全くランダムに生じる。
 そのうち、ドアBが正解である事象が確認できた場合にはこのイベントが中止になることから、ドアBが正解で無い場合の条件付き確率を調べたい。そのために、単に、上図のように、「正解事象グループ」の2つの要素である、「ドアAが正解」「ドアCが正解」の2つの要素だけを記述した図を作って、条件付き確率を調べても良い。
 そうして作ったこの図は、問題0の「場合2」用にも使え、「場合3」用にも共通に使える。それゆえ、「場合2」と「場合3」の条件付き確率の答えが等しくなった。

  (この原理の成立しない条件)
 しかし、この原理は、他の事象と独立な事象グループに限って成り立つものであって、「場合1」では、「正解事象グループ」と、司会者が開くドアの事象との間にはその独立性が無い。すなわち、正解ドアで無いドアを開くという、事象が無作為では無い依存関係があるので、「正解事象グループ」の要素を勝手に除去した部分樹形図を使って条件付き確率を計算してはいけない
(これを禁止する理由は、「事象に依存関係がある場合は、正しい部分樹形図を書くのが難しい」からです)
 「場合1」では、以下のように、「正解事象グループ」の要素の事象を全て書き出し、事象の間の依存関係をきちんと盛り込んだ基本樹形図を作って考えなければならない。
 この基本樹形図から、どうしても部分樹形図を作りたい場合は、以下の様に樹形図の枝の太さに注意しながら、基本樹形図を注意深く詳細に記述します。
 正解ドアがAのときに、ドアBを開く場合と、ドアCを開く場合を対等にする。
 そのようにドアBとドアCが平等に扱われている事を前提条件にした上で、「ドアBを開く」場合の枝を残した以下の部分樹形図を作って確率を計算する。
この部分樹形図で、
ドアAが正解の場合にドアBが開かれる確率は1/2である。
一方、ドアCが正解の場合にドアBが開かれる確率は1である。
 この樹形図から、(ドアBを開いた)条件付きの、ドアCが正解である確率は
である。

(補足)
 この場合1における部分樹形図は、正解ドアがAの場合にドアBを開く場合の枝の太さが、正解ドアがCの場合にドアBを開く場合の枝の太さの半分であるという特徴があります。この特徴が場合2及び場合3と異なります。
 同じドアBを開きそのドアBがハズレという結果が同じなのに、なぜ、場合1の樹形図が場合2及び3の樹形図と異なるのか?
 その理由は、場合1では、ドアBは、ドアCが正解の場合には、必ずドアBを開き、その場合にドアCが開かれることが無いという、正解ドアの存在に依存してドアBの開かれる事象が多くなる事象の偏りがあるためです。

リンク:
高校数学の目次