2020年12月5日土曜日

さいころの目で作る直線の方程式

この問題は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
1個のさいころを3回なげる。そのさいころの目の数を順にa,b,cとする。
そのさいころの目の数を使って直線の方程式:
ax+by=c,
を作る。
この直線の方程式は、係数をk倍した直線の方程式:
akx+bky=ck,
と同じになります。
k≠1とした係数ak,bk,ckがさいころの目には当てはまらない場合の確率を求めよ。

【解答(その1)】
(a,b,c)の係数のどれかが4以上の数であって、しかも、a,b,c が同じ整数で割り切れない場合に、k≠1とした係数ak,bk,ck,がさいころの他の目の数では表されない場合になる。
そういう場合の数を以下の様にして数え挙げる。

(a,b,c)の係数のどれかが5である場合の数を数える。
5が3つの
(a,b,c)=
(5,5,5)は、
全係数が5で割り切れるのでダメ。
(1)5が2つのみある場合を以下で数える。
5以外の数nは、1,2,3,4,6の5個がある。
(a,b,c)=
(5,5,n)が5組
(5,n,5)が5組
(n,5,5)が5組
合計3×5組ある。

(2)5が1つのみある場合を以下で数える。
5以外の数nとmを考える。nとmは同じ数であっても良い。
(5,n,m)が5×5=25組ある。
(n,5,m)が25組ある。
(n,m,5)が25組ある。
合計3×25組ある。

(3)5が1つも無い場合を以下で数える。

(3a)3が2つのみある場合を考える。
残りの1つの数nが、例えば1だった場合、全係数をk=2倍にしても6以下の数になるのでダメ。
残りの1つの数nは、4以上でなければならない。
残りの1つの数が6の場合は、3で割り切れるのでダメ。
残りの1つの数は4でなければならない。
(3,3,4)が1組
(3,4,3)が1組
(4,3,3)が1組
合計3組ある。

(3b)3が1つのみある場合を考える。
残りの2つの数nとmのどれかは必ず4以上の数で無ければならない。
しかし、n=m=6の場合は、全係数が3で割り切れるのでダメである。
それ以外なら良い。

(3b1)nが4の場合を考える。

(3b11)nが4であり、mが4の場合を考える。
(3,4,4)が1組
(4,3,4)が1組
(4,4,3)が1組
合計3組ある。

(3b12)nが4であり、mが1か2か6の場合を考える。
(3,n,m)が3組
(3、m、nが3組
(n、3、m)が3組
(m,3,n)が3組
(n,m,s)が3組
(m,n,3)が3組
合計3×2×3組=3×6組ある。


ここまでの樹形図を書くと以下の樹形図になる。

このように複雑な樹形図を考えているから、この計算は、とても間違えやすい。

(3b2)n及びmが4では無い場合(3でも無い)を考える。
係数の1つのnが6でなければならない。
残りの係数mが6の場合は、全係数が3で割り切れるのでダメ。
結局、mは1か2のみである。
(3,6、m)が2組
(6,3,m)が2組
(3,m,6)が2組
(6,m,3)が2組
(m、3,6)が2組
(m,6,3)が2組
合計3×2×2組=3×4組ある。

(3c)3が1つも無い場合を考える。
(a,b,c)の全部が偶数の場合は2で割り切れるのでダメ。
5でも3でも無い奇数1が1つは必要。
また、4か6かが1つは必要。

(3c1)奇数1が2つある場合
残りの係数nが4か6である。
(1,1,n)が2組
(1,n,1)が2組
(n,1,1)が2組
合計3×2組ある。

(3c2)奇数1が1つのみある場合

(3c21)残りの係数に2がある場合
最後の係数nは4か6でなければならない。
(1,2,n)が2組
(2,1,n)が2組
(1,n,2)が2組
(2,n,1)が2組
(n,1,2)が2組
(n,2,1)が2組
合計3×2×2=3×4組ある。

(3c22)残りの係数に2が無い場合
nは4か6、mも4か6
(1,n,m)が2×2=4組
(n,1,m)が4組
(n,m,1)が4組
合計3×4組ある。

《総合計》
3×(5+25+1+6+1+4+2+4+4)
=3×52=6×26

確率=6×26/6^3
=26/6^2
=13/(6×3)
=13/18
(答え)

【解答(その2)】
(a,b,c)の係数のどれかが4以上の数であって、しかも、a,b,c が同じ整数で割り切れない場合に、k≠1とした係数ak,bk,ck,がさいころの他の目の数では表されない場合になる。
そういう場合の数を、 そうならない場合の数を数え挙げることで求める。


 そうならない場合を数え上げる樹形図は以下の形に単純化されているので、数え間違いのリスクが減っている。


(1)
(a,b,c)の係数のどれもが4未満の1か2か3である場合
3×3×3=3×9通りある。

(2)
(a,b,c)の係数のどれかが4以上であって、a,b,c が同じ整数で割り切れる場合の数を以下で数える。

(2a)全ての係数が同じ値であって、その値で割り切れる場合
(a,b,c)=
(6,6,6)
(5,5,5)
(4.4.4)
合計3組ある。

(2b)全ての係数が同じでは無い場合

(2b1)3で割り切れる場合
(a,b,c)=
(6,6,3)
(6,3,6)
(3,6,6)
(6,3,3)
(3,6,3)
(3,3,6)
合計3×2組ある。

(2b2)3で割り切れないが2で割り切れる場合

(2b21)6がある場合

(2b211)6が2つある場合
(6,6,2)
(6,2,6)
(2,6,6)
(6,6,4)
(6,4,6)
(4,6,6)
合計3×2組ある。

(2b212)6が1つのみある場合

(2b2121)6以外の係数nが等しい場合
nが2か4である
(a,b,c)=
(6,n,n)2組
(n,6,n)2組
(n,n,6)2組
合計3×2組ある。

(2b2122)6以外の係数nとmが異なる場合
(a,b,c)=
(6,4,2)
(2,6,4)
(4,2,6)
(6,2,4)
(4,6,2)
(2,4,6)
合計3×2組ある。

(2b22)6が無い場合、
(4,4,2)
(4,2,4)
(2,4,4)
(4,2,2)
(2,4,2)
(2,2,4)
合計3×2組ある。

《総合計》
3×(9+1+2×5)
=60

確率=1-60/6^3
=1-5/18
=13/18
(答え)

【解答(その3)】
以下の重複事象統合樹形図を利用して、問題の場合の条件が成り立たない場合の数を、重複部を差し引いて数え上げる事で問題を解く。
すなわち、『(a,b,c)の係数のどれもが4未満の数であるか(その場合は、全係数を2倍以上にできる)、

又は、a,b,c が同じ整数で割り切れる場合』
の数を重複部を差し引いて数え挙げることで問題を解く。



(1)
(a,b,c)の係数のどれもが4未満の1か2か3である場合
3×3×3=27通りある。

(2)
(a,b,c)の係数のどれかが4以上であって、a,b,c が同じ整数で割り切れる場合の数を以下で数える。

(2a)全てが5で割り切れる場合
(5,5,5)の1組がある。

(2b)全てが3で割り切れる場合から、(3,3,3)を除外した数:
2×2×2-1=7通りある。

(2c)全てが2で割り切れる場合から、(2,2,2)と、全てが3でも割り切れる場合の(6,6,6)を除外した数:
3×3×3-2=25通りある。

《総合計》
27+1+7+25=60

確率=1-60/6^3
=1-5/18
=13/18
(答え)

(補足)
  この問題のように、解答(その3)の解き方の様に重複部を差し引く計算をすると簡単に解けるが、それ以外の解き方をすると計算が複雑になって間違え易いという設問、を多く見かけます。

リンク:
高校数学の目次

2020年12月2日水曜日

3次元ベクトルの分解の公式の証明

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【課題】
 以下の図の3次元ベクトルzを、3次元ベクトルaとbとcの方向のベクトルの和であらわす公式を導き出す。
 3次元ベクトルの分解の公式は、以下の図の平行6面体の体積比を使ってあらわせる。

(3次元ベクトルの分解の公式おわり)

【第1の証明】
(1)ベクトルaの方向の単位ベクトルをベクトルSとする。
(2)ベクトルaとベクトルbの張る平面上のベクトルで、ベクトルaに垂直な単位ベクトルをベクトルTとする。
(3)ベクトルSとベクトルTの外積をベクトルUとする。ベクトルUは単位ベクトルになる。
直交ベクトル系、S,T,Uで、ベクトルa,b,c,Zが以下の図のように表せる。


このとき、以下の式が成り立つ。

また、公式の右辺の各項が以下の式で表せる。

式5から6を合わせると以下の式が成り立つ。

(公式の第1の証明おわり)

【究極の方法】
 この証明から分かるように、問題を解くためにとても役にたつ方法は、このベクトルの分解の公式等を使うよりも、上図のように、ベクトルSとベクトルTとベクトルUによる直交座標系を導入することである。そうして、上の様に、ベクトルZをその直交座標系への成分に分解して問題を解く方が、問題を解くのに役に立つ。

【第2の証明】
ベクトルzはベクトルa,b,cを用いて以下の式であらわされる。

この式と、ベクトルaとbの外積ベクトルとの内積をとる。すると、ベクトルaとbの項が消えた式が得られるので、ベクトルcの係数pが求められる。

以上で各ベクトルの係数が求められたので、以下の式が得られた。

(第2の証明おわり)


リンク:
2次元ベクトルの合成の公式と分解の公式と2元連立方程式の解
高校数学の目次