2025年8月16日土曜日

三角形の三角関数の公式

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
sin(A+B)=sin(C)

【証明開始】
sin(A+B)
=sin(π-C)
=-sin(-C)
=sin(C),
(証明おわり)

【問2】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
cos(A+B)=-cos(C)

【証明開始】
cos(A+B)
=cos(π-C)
=-cos(-C)
=-cos(C),
(証明おわり)

【問3】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ



【証明開始】
sin((A+B-C)/2)
=sin((A+B+C-2C)/2)

=sin((π/2)-C)
=cosC

(証明おわり)
 他の式の証明も同様である。

【問4】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
sin(A+B-C)=sin(2C)
sin(B+C-A)=sin(2A)
sin(C+A-B)=sin(2B)

【証明開始】
sin(A+B-C)
=sin(A+B+C-2C)

=sin(π-2C)
=sin(2C)

(証明おわり)
他の式の証明も同様である。

【問5】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
cos(A+B-C)=-cos(2C)
cos(B+C-A)=-cos(2A)
cos(C+A-B)=-cos(2B)

【証明開始】
cos(A+B-C)
=cos(A+B+C-2C)

=cos(π-2C)
=-cos(-2C)
=-cos(2C)

(証明おわり)
他の式の証明も同様である。

上の公式を直ぐに導き出せるようにしておくと、三角形の三角関数の式の証明がやさしくなります。

【問6】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
2(cosA-cosB)sinC=sinB-sinA+sin(B-C)-sin(A-C),

【証明開始】
2(cosA-cosB)sinC
=2cosAsinC-2cosBsinC
=sin(A+C)-sin(A-C)+sin(B-C)-sin(B+C)
=sinB-sin(A-C)+sin(B-C)-sinA
=sinB-sinA+sin(B-C)-sin(A-C),
(証明おわり)

【問7】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
2(cosA-cosB)cosC=cosA-cosB+cos(A-C)-cos(B-C),

【証明開始】
2(cosA-cosB)cosC
=2cosAcosC-2cosBcosC
=cos(A+C)+cos(A-C)-cos(B-C)-cos(B+C)
=-cosB+cos(A-C)-cos(B-C)+cosA
=cosA-cosB+cos(A-C)-cos(B-C),
(証明おわり)

【問8】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
2(sinA-sinB)cosC=sinB-sinA+sin(A-C)-sin(B-C),

【証明開始】
2(sinA-sinB)cosC
=2sinAcosC-2sinBcosC
=sin(A+C)+sin(A-C)-sin(B-C)-sin(B+C)
=sinB+sin(A-C)-sin(B-C)-sinA
=sinB-sinA+sin(A-C)-sin(B-C),
(証明おわり)

【問9】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
2(sinA-sinB)sinC=cosB-cosA+cos(A-C)-cos(B-C),

【証明開始】
2(sinA-sinB)sinC
=2sinAsinC-2sinBsinC
=-cos(A+C)+cos(A-C)-cos(B-C)+cos(B+C)
=cosB+cos(A-C)-cos(B-C)-cosA
=cosB-cosA+cos(A-C)-cos(B-C),
(証明おわり)

リンク:
高校数学の目次

2025年8月5日火曜日

3次方程式が重根を持つ条件

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【難問1】三次の方程式
+ax+b=0 (式1)
の根が重根を持つ場合に、パラメータaとbの間に成り立つ関係を求めよ。
(注意:どの3次方程式も変数を変換することでこの形の式に帰着できる)


(解答の方針)
この問題は、
方程式
f(x)=0 (式2)
が重根を持つ場合に以下の関係が成り立つという知識が無いと解くのがとても難しい問題ではないかと思います。

方程式2の重根の解x=αにおいて、
f’(α)=0 (式3)
が成り立つ。
すなわち、方程式2を微分した方程式の解も、その重根の解x=αと同じ解を持つ。
これは、以下のようにして証明できます。
(証明開始)
f(x)=(x-α)g(x)
という式であるとすると、この式を微分すると以下の式が得られる。
f’(x)=2(x-α)g(x)+(x-α)g’(x)
=(x-α){2g(x)+(x-α)g’(x)}
よって、
f’(α)=0 (式3)
が成り立つ。
(証明終わり)

そのため、
f(x)=x+ax+b=0 (式1)
の根が重根を持つ場合に、
f’(x)=3x+a=0 (式4)
の根の1つが、式1の根と等しい。
そのため、
式1と式4を連立させて、両式がともに成り立つxの値が、式1の重根である。
この公式を知っていれば、この問題は解ける。

【解答1】
(1)
f(x)=x+ax+b=0 (式1)
の根が重根を持つ場合に、
f’(x)=3x+a=0 (式4)
の根の1つが、式1の根と等しい。
そのため、
式1と式4を連立させて、両式がともに成り立つxの値が、式1の重根である。
(2)
3(式1)-(式4)xを計算する。
3x+3ax+3b-(3x+ax)=0
3ax+3b-ax=0
2ax+3b=0 (式5)
(3)
a≠0の場合は、
x=-3b/(2a) (式6)
このxの値が重根である。
(4)
a=0の場合は、
式5より、
b=0
すなわち、a=b=0の場合に、式1も式4もx=0を解に持つ。
(5)
式6のxの値を式4に代入する。
3(-3b/(2a))+a=0
(27/4)(b/a)+a=0
27b+4a=0 (式7)
式7は、a=b=0の場合も含んでいる。
(6)
式6のxの値を式1に代入する。
(-3b/(2a))+a(-3b/(2a))+b=0
-(27/8)(b/a)-(3/2)b+b=0
-(27/8)(b/a)-(1/2)b=0 
-27(b/a)-4b=0
27(b/a)+4b=0
27b+4ba=0
b(27b+4a)=0
b=0
or
27b+4a=0 (式7)
再び式7を得た。
(7)
よって、パラメータaとbの間に成り立つ関係は、 
27b+4a=0 (式7)
である。おぼえ易い式に変形すると、
(b/2)+(a/3)=0 (式7’) 
これが、式1が重根(3重根も重根の一種として)を持つ条件である。この式の左辺の式は、3次方程式の判別式である。
(解答おわり)

【解答2】 
 式1が重根を持つ場合は、式fと、それを微分した式f’≡gが共通因数を持つ。
 共通因数を持つ式fと式gをユークリッドの互除法で余りを計算すると、余りの式は割り切れる結果、余りの定数項が0になる。
そのため、以下のように、ユークリッドの互除法で余りの定数項を計算する。
(1)先ず、f’≡gを計算する。
このfをgで割り算した余りの式hを計算する。
 次にgをhで割り算した余りの定数項の式kを計算する。
(ただし、a≠0とする)

fとgが共通因数hを持つので、式gはhで割り切れ、余りの定数項kは0になる。
よって、以下の式が成り立つ。
解答1で求めた解の式7と同じ式a-5が得られた。この式は3次方程式の判別式である。
(a=0の場合)
 重根を持つ条件は、b=0である。
これは、式a-5に当てはまっている。
その場合にx=0で3重根を持つ。
(解答おわり)

(コメント)
ここで、3次方程式1の判別式Dは、
D≡-(b/2)-(a/3)
であり、
D=0の場合に式1は重根を持ち、
D>0の場合に式1は3つの実数根を持つ。

この判別式Dは、以下の様にすると思い出し易い。
式1をyとして、
yの微分に-1を掛けた式8を考える。
そして、その式8のxに、
式1が重根を持つ場合には重根の絶対値をあらわす
を代入して式9を計算する。
その式9:
yの微分に-1を掛けた式≧0
が、式1の根が全て実数になる条件式であると覚える
と、判別式Dを思い出し易い。

この式9を展開すると以下の式10になります。
この式10を以下の様に変形することで判別式Dが導き出せます。
 こうして、式11の判別式Dが導き出せた。
(参考)
「3次方程式で1つの根がわかっている場合の残りの根」

【問2】三次の方程式


の根が重根を持つ場合に、パラメータcのみが未知数の場合にcの値を求めよ。

【解答】
 式(1) が重根を持つ場合は、式f(x) と、それを微分した式f’(x) が共通のxの値で成り立つ。そのxの値が重根の値である。

 そのため、以下のように、式(1)と式(2)を連立してパラメータcの値を計算する。

(問2の解答おわり)

【難問3】三次の方程式


の根が重根を持つ場合に、パラメータkのみが未知数の場合にkの値を求めよ。

【解答】
 式(1) が重根を持つ場合は、式f(x) と、それを微分した式f’(x) が共通のxの値で成り立つ。そのxの値が重根のxの値である。

 共通のxの値を持つ式f(x) と式f’(x) を連立することで、以下のように、パラメータkの値を計算する。

(問3の解答おわり)

【難問4】三次の方程式


の根が重根を持つ場合に、パラメータaのみが未知数の場合にaの値を求めよ。

【解答】
 式(1) が重根を持つ場合は、式f(x) と、それを微分した式f’(x) が共通のxの値で成り立つ。そのxの値が重根のxの値である。

 共通のxの値を持つ式f(x) と式f’(x) を連立することで、以下のように、パラメータaの値を計算する。

(問4の解答おわり)

【難問5】三次の方程式


の根が重根を持つ場合に、パラメータa、k、cの間に成り立つ関係を求めよ。

【解答】
 式(1) が重根を持つ場合は、式f(x) と、それを微分した式f’(x) が共通のxの値で成り立つ。そのxの値が重根のxの値である。

 共通のxの値を持つ式f(x) と式f’(x) を連立することで、以下のように、パラメータa、k、cの関係式を求める。



(この式の左辺は3次方程式の判別式である)
この式に、分母の最大の項を掛け算する。

式(8)が求める、パラメータa、k、cの間に成り立つ関係(判別式=0となる関係)である。
(問5の解答おわり)

リンク:
3次方程式の3つの解が全て実数解である条件
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2025年4月14日月曜日

模様数と色模様毎の確率の積を考える確率の問題

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 赤玉3個と青玉2個と白玉1個が入っている袋から無作為に1個を取り出し、 色を確認した後、もとに戻す。これを3回繰り返すとき、 全ての色の玉を取り出す確率を求めよ。

【解答】
 各玉を取り出す確率を列記する。次に、以下の図のように、3回の試行順の色模様のバラエティ毎に、その色模様を生じる確率の積を列記する。

各色模様のバラエティを生じる確率の総和が求める確率である。その総和を以下の式で計算する。

(解答おわり)

リンク:
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2024年11月9日土曜日

円と放物線の接点を求める問題(2)

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 以下の2つの式であらわされる円のグラフと放物線のグラフが接するkの条件を求めよ。

【解答】
 先ずは、下図のようなグラフを描いて、問題の見通しを良くしてから問題を解きます。
図から、接点は、y=-1の点とy=1の点と、それ以外にy座標が-1/2程度の2つの点との合計4点あると、見通しを立てます。
(それをそのまま解答にしても良い)

接点を求める問題は、微分で接点の条件を与える方程式を作ることが計算を少なくできるコツです。

そのため、以下で、微分を利用して接点の条件を与える方程式を作ります。

これにより:
この式5bと先の2つのグラフの式2つとの、2変数の3つの式を連立させて、kを求める問題に変換できました。
式5bから、以下の式6が得られます。
以下で、この式の2つの場合に分けて、解を求めます。
 これにより、以下の第1の解の群が得られた。
次に、式6のもう1つの場合の解を求めます。
これにより、以下の第2の解の群が得られた。
よって、式1のグラフと式2のグラフが接するようにするkの値は、
k=±1, -5/4
の3つです。
(解答おわり)

(補足)
 式6bの場合の第2の解の群は、微分を用いないでも、以下の様にして接点が2重解を持つ条件から導くことができます。
(1)+(2):
この2次方程式は、
k=-5/4
の場合に2重解を持ちます。
 しかし、その2重解が接点をあらわすことはあまり明確ではありません。
また、この2次方程式にこだわると、
式6aの場合の接点の第1の解の群を見落とす恐れがあります。
 そのため、接点を求める計算では、
微分を利用した接点の条件の式5bを使って、式6aと式6bを導き出す明確な計算によって接点を計算する方が望ましいです。 

リンク:
円と放物線の接線(2)重解の判別式の意味
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2024年11月8日金曜日

点Pから引いた放物線の接線の接点AとBの中点のx座標は点Pと同じ

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 以下の図のように、放物線の外側にある点Pから放物線に引いた2つの接線の放物線との接点を点Aと点Bとする。
(1)点Aと点Bの中点のx座標が点Pのx座標と一致することを示せ。
(2)式(1)の関係が成り立つことを示せ。



【解答】
 y座標を拡大縮小した図形においても、問題の本質が変わらない。
そのため、y座標を以下の図の式でY座標に変換して問題を解く。

放物線のグラフの関数をf(x) とあらわす。

この式(3)と式(4)を連立して、P点を通る直線と放物線の交点の座標(x,Y)を求める。
 ここで、P点を通る直線の傾きkが放物線の交点での放物線のグラフの傾きf’(x) と等しくなれば、その交点は、放物線と直線との接点になる。その条件を以下の式(5)で導入して計算する。


この接線の傾きkを与える式の中に現れた式:

の根号の中が0以上でなければ、接線の傾きkの解が無く、接点AおよびBの解が無い。この式の根号の中が0以上であることが、点Pから放物線に接線を引くことができる条件である。
 以上で得られた傾きkの式に式(6)を代入して接点AとBのx座標を求める。

 以上の式(8)と(9)とで、接点AとBのx座標が求められた。次に、接点AとBのY座標を求める。

次に、点Aと点Bの中点Rの座標を求める。

式(12)により、点Rのx座標が点Pのx座標と同じであることが示された。
次に、点Pの真上の点Qまでの高さPQ=gを求める。

式(17)により、式(2)の関係が成り立っている。
このため、グラフをY方向に拡大縮小して座標系をy座標に戻せば、式(1)が成り立っている。
(解答おわり)

リンク:
やさしい微分積分
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2024年10月29日火曜日

確率の和を計算して漸化式を求める

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 袋の中に赤玉が3個、白玉が7個入っているとする。
1回の試行において、赤玉を取り出したら代わりに白玉を入れ、白玉を取り出したら代わりに赤玉を入れるとする。
Pnをn回目に赤玉を取り出す確率とする。Pnを求めよ。

【解答】
 先ず、P1を計算する。
P1=3/10, (1)
次に、P2 を計算する。
(注意)以下の式(2)を導出する計算は、P1の値 が式(1)の値以外の場合でも成り立つ。

式(2)により、P2 を P1 であらわす式が得られた。

次に、P3 を計算する。
 以下の図で考察し、n回目に玉を取り出して所定の玉を補充した後で赤玉の数が縦軸で示す数になる確率をk(n,i) とする。そして、k(n,i) の状態の次に、n+1 回目に赤玉が取り出される確率をD(n,i) とする。ここで、P2は、もともとは、以下の式であらわされる。


P3の4つの項のうちk11の点から生じる2つの項の和を以下の式で計算する。

P3の4つの項のうちk12の点から生じる残り2つの項の和を以下の式で計算する。

よって、P3 を構成する4つの項の総和が、1回目の操作の結果の赤玉の数毎の確率k11と確率k12の重みの積で与えられ、以下の式で計算できる。

P4も上記のように計算した。
次に、以上の計算を種にして、全てのnに係わる確率Pn の漸化式を求める。

Pn をあらわす式を求める。

式(10)を用いて計算したP2, P3 が先に求めた解と一致した。
式(10)が、求めるPn の解である。
(解答おわり)

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