以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。
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▷【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分
【問1】
以下の不定積分を求めよ。

【解の第1段階】
この問題を解く第1段階として、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解く。
(変数uを導入する考え方)
tan(x/2)=u
とする変数uを導入する場合は、
「ここをクリックした参考サイトの様な解き方」
をすると、
x/2=π/2の点で、
tan(x/2)の値が無限大になってしまうので、
その点を含む x の区間では積分できない
という問題がある。
(ここをクリックした先の「広義積分を必要とする積分の例」を参照)
しかし、それを改善する手段がある。
(1) tan(x/2)が無限大になってその点のxで積分できないので、不定積分の変数xの定義域を、そのxの点を境界点にしたその境界点以外の左側の区間を第1の不定積分の変数xの定義域にする。また、その境界点以外の右側の区間を第2の不定積分の変数xの定義域にする。そのように、定義域が異なる2つの不定積分の解を求める。
(2) そのように定義域がバラバラな不定積分の解同士が、そのxの境界点で、不定積分の有限な値の極限値があり、そのxの境界点で、第1と第2の不定積分の解が接続できる場合は、そのxの境界点での極限値をその不定積分の関数の値として定義する。それは広義積分と呼ばれている。広義積分をすることを明確にするために、以下の説明文を解答に加える。
「この不定積分の関数F(x)でのcos(x/2)→0となる変数xの極限でのF(x)の極限値を、そのxの値でのF(x)の値と定義する」
そして、xの境界点の左右の区間をつないで一体化して1つの区間にし、その区間を第1と第2の不定積分を合体させた関数F(x) の定義域にする。こうして、元の関数ではxの値が定義されていたが、tan(x/2)=tとする変数tを導入することで潰された変数xの値を、広義積分によってそのxの点での関数F(x)の値を定義することでそのxの点を定義域に復活させる。また、関数F(x) の定義域の区間を拡大する。
以下で、その方法により解く。
【第1段階開始】
この問題を、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解く。

〔変数xの第1の定義域の不定積分〕
以下のように、変数xを変数uに置き換えて置換積分する。その置換積分に対応して、置換積分をする変数xと変数uの範囲を定義し、計算の準備をする。得られる不定積分の関数は、式(3)で与えられる定義域の範囲の関数である。


次に、以下の置換積分の計算をする。

ここで、再度変数を変換して置換積分の計算をする。


ここで、式(8)と(2)によって、変数θと変数xとを結びつける式を整理する。

この式の両辺を2乗する。

この式(13)は、式(3)で制限された範囲の変数xによっては、分母が0にならない。
この式を変形する。


この式(14)で定義される変数θによって、積分結果が以下の式であらわされる。

なお、式(14)と対になるべき、sin(2θ)を変数xであらわす式が、以下の計算によって得られる。

こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、式(3)で制限された変数xの範囲での不定積分が以下の式であらわされた。
(第1の定義域の不定積分おわり)
〔変数xの第2の定義域の不定積分〕
以下のように、式(23)で与える変数xの第2の定義域での不定積分を、変数xを変数uに置き換えて置換積分する。

これ以降の計算は、先の式(6)から式(15)の計算を繰り返して、変数xの第2の定義域の不定積分を計算する。
こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、式(3)で制限された変数xの範囲での不定積分が以下の式であらわされた。
(第2の定義域の不定積分おわり)
〔広義積分の適用による積分の定義域の制限の解消〕
上の式の計算で、不定積分の第1の定義域と第2の定義域の境界点のx=πの点を考える。その境界点の極限において、式(11)で与えられる不定積分の値が有限の値の極限値を持つ。そのため、x=πの点での不定積分の値をその極限値で定義する(広義積分の処理を行う)。その次に、第1の定義域の不定積分の定義域と第2の定義域の不定積分の定義域をつないで1つの定義域にした不定積分の解を得る。こうして広義積分を行なうことで、置換積分を媒介する変数uの導入によって制限されていた不定積分の積分範囲の制限を解消する。
(以上で解の第1段階の処理おわり)
【第2段階開始】
以上の計算の結果、元の式を置換積分するために最適な積分変数が何であるかがわかった。そのため、その積分変数を使って、置換積分する。

以下の2つの式で定義する単位円の偏角の変数wを導入する。すなわち、式(a2)では、変数wを、cos()の逆関数と右辺のxの式との合成関数で定義している。

(注意)単位円の偏角wは、cos(w)の式だけで偏角wを定義する通常の定義の場合には、wの値の範囲を限定して偏角を定義していた。一方で、偏角wを、そのような値の範囲の限定に依らずに定義する場合は、sin(w)の式とcos(w)の式との2式を並置することで偏角wの値を確定させる必要がある。ただし、sin(w)の式とcos(w)の式を互いに矛盾しない式にする必要がある。
式(a2)と(a3)で定義されるwとxとは1対1で対応する。そのように扱い易い関係がある。
先ず式(a3)の両辺を微分する。
式(a2)を代入する。

この第2段階の積分の計算では、変数xの定義域を狭めない変数変換によって積分ができた。
(第2段階おわり)
(注意)式(a2)を代入した式を式(a4)に変形する計算は、値が0になり得る式(1+2cosx)で式を割り算する計算を含むので、同値変形では無い。その計算方法は、積分に広義積分を含ませることにより許されていることに注意すべきである。
(補足)
ここで、変数wとxとに1対1対応の関係が成り立つ場合に、以下の関係が成り立つことを利用して、堂々と積分変数を変更して置換積分して良い。

【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分
この問題の積分は、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を利用して、以下のように積分することもできる。

ここで、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を適用する。また、複素積分を行い、複素数の対数関数log(複素数)を用いる。(通常の実関数としての対数関数にはln()という記号を、複素関数としての対数関数にはlog()という記号を使って区別すると良いと思う)
この式(b3)から、解をあらわす式(b4)(b5)が得られる。

(別解おわり)
【微分して検算する】
以上の別解の積分結果を微分すれば逆に、元の被積分関数が得られると考える。そのことを、以下の一般的な形の式を微分して確認する。

以上の2つの式であらわされた関数wを微分する。
先ず、式(2)をxで微分する。
この式(3)に式(1)を代入する。
関数wの微分の式(4)が得られたので、
式(4)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)
(検算(その2))
以下の条件内に限定した以下の計算をして検算することもできる。
すなわち、式(1)と(2)から、以下の式(5)が得られる。
xの値が(π/2)などの、式(5)の分母を0にする値においては式(6)が定義されていない。しかし、その制限に対して、広義積分によって、変数xをその値に近づける極限での式(6)の各項の極限値を、変数xがその値での式(6)の各項の値と定義する。それにより、変数xがその値の場合でも式(6)を定義する。
こうして、関数wの微分の式(6)が得られたので、
式(6)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)
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【問1】
以下の不定積分を求めよ。
【解の第1段階】
この問題を解く第1段階として、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解く。
(変数uを導入する考え方)
tan(x/2)=u
とする変数uを導入する場合は、
「ここをクリックした参考サイトの様な解き方」
をすると、
x/2=π/2の点で、
tan(x/2)の値が無限大になってしまうので、
その点を含む x の区間では積分できない
という問題がある。
(ここをクリックした先の「広義積分を必要とする積分の例」を参照)
しかし、それを改善する手段がある。
(1) tan(x/2)が無限大になってその点のxで積分できないので、不定積分の変数xの定義域を、そのxの点を境界点にしたその境界点以外の左側の区間を第1の不定積分の変数xの定義域にする。また、その境界点以外の右側の区間を第2の不定積分の変数xの定義域にする。そのように、定義域が異なる2つの不定積分の解を求める。
(2) そのように定義域がバラバラな不定積分の解同士が、そのxの境界点で、不定積分の有限な値の極限値があり、そのxの境界点で、第1と第2の不定積分の解が接続できる場合は、そのxの境界点での極限値をその不定積分の関数の値として定義する。それは広義積分と呼ばれている。広義積分をすることを明確にするために、以下の説明文を解答に加える。
「この不定積分の関数F(x)でのcos(x/2)→0となる変数xの極限でのF(x)の極限値を、そのxの値でのF(x)の値と定義する」
そして、xの境界点の左右の区間をつないで一体化して1つの区間にし、その区間を第1と第2の不定積分を合体させた関数F(x) の定義域にする。こうして、元の関数ではxの値が定義されていたが、tan(x/2)=tとする変数tを導入することで潰された変数xの値を、広義積分によってそのxの点での関数F(x)の値を定義することでそのxの点を定義域に復活させる。また、関数F(x) の定義域の区間を拡大する。
以下で、その方法により解く。
【第1段階開始】
この問題を、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解く。
〔変数xの第1の定義域の不定積分〕
以下のように、変数xを変数uに置き換えて置換積分する。その置換積分に対応して、置換積分をする変数xと変数uの範囲を定義し、計算の準備をする。得られる不定積分の関数は、式(3)で与えられる定義域の範囲の関数である。
次に、以下の置換積分の計算をする。
ここで、再度変数を変換して置換積分の計算をする。
ここで、式(8)と(2)によって、変数θと変数xとを結びつける式を整理する。
この式の両辺を2乗する。
この式(13)は、式(3)で制限された範囲の変数xによっては、分母が0にならない。
この式を変形する。
この式(14)で定義される変数θによって、積分結果が以下の式であらわされる。
なお、式(14)と対になるべき、sin(2θ)を変数xであらわす式が、以下の計算によって得られる。
こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、式(3)で制限された変数xの範囲での不定積分が以下の式であらわされた。
(第1の定義域の不定積分おわり)
〔変数xの第2の定義域の不定積分〕
以下のように、式(23)で与える変数xの第2の定義域での不定積分を、変数xを変数uに置き換えて置換積分する。

これ以降の計算は、先の式(6)から式(15)の計算を繰り返して、変数xの第2の定義域の不定積分を計算する。
こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、式(3)で制限された変数xの範囲での不定積分が以下の式であらわされた。
(第2の定義域の不定積分おわり)
〔広義積分の適用による積分の定義域の制限の解消〕
上の式の計算で、不定積分の第1の定義域と第2の定義域の境界点のx=πの点を考える。その境界点の極限において、式(11)で与えられる不定積分の値が有限の値の極限値を持つ。そのため、x=πの点での不定積分の値をその極限値で定義する(広義積分の処理を行う)。その次に、第1の定義域の不定積分の定義域と第2の定義域の不定積分の定義域をつないで1つの定義域にした不定積分の解を得る。こうして広義積分を行なうことで、置換積分を媒介する変数uの導入によって制限されていた不定積分の積分範囲の制限を解消する。
(以上で解の第1段階の処理おわり)
【第2段階開始】
以上の計算の結果、元の式を置換積分するために最適な積分変数が何であるかがわかった。そのため、その積分変数を使って、置換積分する。
以下の2つの式で定義する単位円の偏角の変数wを導入する。すなわち、式(a2)では、変数wを、cos()の逆関数と右辺のxの式との合成関数で定義している。
(注意)単位円の偏角wは、cos(w)の式だけで偏角wを定義する通常の定義の場合には、wの値の範囲を限定して偏角を定義していた。一方で、偏角wを、そのような値の範囲の限定に依らずに定義する場合は、sin(w)の式とcos(w)の式との2式を並置することで偏角wの値を確定させる必要がある。ただし、sin(w)の式とcos(w)の式を互いに矛盾しない式にする必要がある。
式(a2)と(a3)で定義されるwとxとは1対1で対応する。そのように扱い易い関係がある。
先ず式(a3)の両辺を微分する。
式(a2)を代入する。
この第2段階の積分の計算では、変数xの定義域を狭めない変数変換によって積分ができた。
(第2段階おわり)
(注意)式(a2)を代入した式を式(a4)に変形する計算は、値が0になり得る式(1+2cosx)で式を割り算する計算を含むので、同値変形では無い。その計算方法は、積分に広義積分を含ませることにより許されていることに注意すべきである。
(補足)
ここで、変数wとxとに1対1対応の関係が成り立つ場合に、以下の関係が成り立つことを利用して、堂々と積分変数を変更して置換積分して良い。
【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分
この問題の積分は、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を利用して、以下のように積分することもできる。
ここで、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を適用する。また、複素積分を行い、複素数の対数関数log(複素数)を用いる。(通常の実関数としての対数関数にはln()という記号を、複素関数としての対数関数にはlog()という記号を使って区別すると良いと思う)
この式(b3)から、解をあらわす式(b4)(b5)が得られる。
(別解おわり)
【微分して検算する】
以上の別解の積分結果を微分すれば逆に、元の被積分関数が得られると考える。そのことを、以下の一般的な形の式を微分して確認する。
以上の2つの式であらわされた関数wを微分する。
先ず、式(2)をxで微分する。
この式(3)に式(1)を代入する。
関数wの微分の式(4)が得られたので、
式(4)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)
(検算(その2))
以下の条件内に限定した以下の計算をして検算することもできる。
すなわち、式(1)と(2)から、以下の式(5)が得られる。
xの値が(π/2)などの、式(5)の分母を0にする値においては式(6)が定義されていない。しかし、その制限に対して、広義積分によって、変数xをその値に近づける極限での式(6)の各項の極限値を、変数xがその値での式(6)の各項の値と定義する。それにより、変数xがその値の場合でも式(6)を定義する。
こうして、関数wの微分の式(6)が得られたので、
式(6)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)
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