2022年5月28日土曜日

tan(x/2)で置換積分して最適な積分変数を求める

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

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▷【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分

【問1】

以下の不定積分を求めよ。


【解の第1段階】
この問題を解く第1段階として、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解きます。
(変数uを導入する考え方)
tan(x/2)=u
とする変数uを導入する場合は、
「ここをクリックした参考サイトの様な解き方」
をすると、
x/2=π/2の点で、
tan(x/2)の値が無限大になってしまうので、
その点を含む x の区間では積分できない
という問題があります。

(ここをクリックした先の「広義積分を必要とする積分の例」を参照)

 しかし、それを改善する手段があります。
(1) tan(x/2)が無限大になってその点のxで積分できないので、その点以外で積分した結果を、バラバラな異なる積分の解とする。
(2) そのバラバラな解同士が、その除外した点以外の積分の値の極限が、そのxの点で接続できる場合は、関数の変数xの定義域を極限値を使って拡張します。それは広義積分と呼ばれています。それをするために、以下の説明文を解答に加えます。
「この関数F(x)の定義されていないxの値にxを近づけた極限でのF(x)の極限値を、そのxの値でのF(x)の値とする」
 この説明文を加えることにより、元の関数ではxの値が定義されていたが、tan(x/2)=uとする変数uを導入することで潰されたxの値を、広義積分によって定義域に復活させ、そのxの値での関数F(x)の値を定義します。

 以下で、その方法により解きます。

【第1段階開始】
この問題を、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解きます。

以下のように、変数uを定義し計算の準備をします。



次に、以下の置換積分の計算をします。


ここで、再度変数を変換して置換積分の計算をします。


ここで、式(8)と(2)によって、変数θと変数xとを結びつける式を整理する。

この式の両辺を2乗する。

この式(13)は、その分母を0にする変数の値では式が定義されていない。
この式を変形する。



式(13)の分母を0にする変数の値では式(14)が定義されていない。
すなわち、式(3)によって、変数xの定義域には、πの値が定義域から除外されていたことが引き継がれている。ここで、広義積分を適用することで、その値もxの定義域に含ませて定義域を拡大する。すなわち、式(13)の分母を0にするxの値が式(14)の変数xの定義域からも除外されていた。式(14)では、変数xをその値に近づけた極限での値を、変数xのその値での式の値と定義する。それにより、式(14)の変数xの定義域から除外されていた値を復帰させて定義域を拡大する。
この式(14)で定義される変数θによって、積分結果が以下の式であらわされる。


なお、式(14)と対になるべき、sin(2θ)を変数xであらわす式が、以下の計算によって得られる。

こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、不定積分が以下の式であらわされた。

(第1段階おわり)

(補足)広義積分の適用について:
 上の式の計算では、式(13)の分母を0にする変数の値では式(14)が当初は定義されていなかったが、関数の値を極限値によって定義する広義積分によって変数xの定義域を広げて、当初は変数xの定義域から除外されていた値で式(14)の式を定義し、変数xのその値での積分結果を定義した。このように、同値変形では無い式の変形を行なって、式(13)の分母を0にする変数xの値が定義機から除外されていた定義域の制限を解消した計算をした。この処理は、積分とは無関係な式の計算では通用しないものです。

【第2段階開始】
 以上の計算の結果、元の式を置換積分するために最適な積分変数が何であるかがわかった。そのため、その積分変数を使って、置換積分する。

以下の2つの式で定義する単位円の偏角の変数wを導入する。すなわち、式(a2)では、変数wを、cos()の逆関数と右辺のxの式との合成関数で定義している。

(注意)単位円の偏角wは、cos(w)の式だけで偏角wを定義する通常の定義の場合には、wの値の範囲を限定して偏角を定義していた。一方で、偏角wを、そのような値の範囲の限定に依らずに定義する場合は、sin(w)の式とcos(w)の式との2式を並置することで偏角wの値を確定させる必要がある。ただし、sin(w)の式とcos(w)の式を互いに矛盾しない式にする必要がある。

式(a2)と(a3)で定義されるwとxとは1対1で対応する。そのように扱い易い関係がある。
先ず式(a3)の両辺を微分する。

式(a2)を代入する。

この第2段階の積分の計算では、変数xの定義域を狭めない変数変換によって積分ができた。
(第2段階おわり)

(注意)式(a2)を代入した式を式(a4)に変形する計算は、値が0になり得る式(1+2cosx)で式を割り算する計算を含むので、同値変形では無い。その計算方法は、積分に広義積分を含ませることにより許されていることに注意すべきである。

(補足)
 ここで、変数wとxとに1対1対応の関係が成り立つ場合に、以下の関係が成り立つことを利用して、堂々と積分変数を変更して置換積分して良い。


【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分
 この問題の積分は、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を利用して、以下のように積分することもできる。


ここで、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を適用する。また、複素積分を行い、複素数の対数関数log(複素数)を用いる。通常の実関数としての対数関数にはln()という記号を、複素関数としての対数関数にはlog()という記号を使って区別すると良いと思う


この式(b3)から、解をあらわす式(b4)(b5)が得られる。

(別解おわり)

【微分して検算する】
 以上の別解の積分結果を微分すれば逆に、元の被積分関数が得られると考える。そのことを、以下の一般的な形の式を微分して確認する。

以上の2つの式であらわされた関数wを微分する。
先ず、式(2)をxで微分する。


この式(3)に式(1)を代入する。

関数wの微分の式(4)が得られたので、
式(4)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)

(検算(その2))
以下の条件内に限定した以下の計算をして検算することもできる。
すなわち、式(1)と(2)から、以下の式(5)が得られる。
xの値が(π/2)などの、式(5)の分母を0にする値においては式(6)が定義されていない。しかし、その制限に対して、広義積分によって、変数xをその値に近づける極限での式(6)の各項の極限値を、変数xがその値での式(6)の各項の値と定義する。それにより、変数xがその値の場合でも式(6)を定義する。

 こうして、関数wの微分の式(6)が得られたので、
式(6)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)

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