2022年3月26日土曜日

3点が1直線上にある証明

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 平行四辺形ABCD内の1点Pを通り,各辺に平行線を引き辺AB,CD,BC,DAとの交点を,順にQ,R,S,Tとする。2直線QS,RTが点Oで交わる時,3点O,A,Cは1つの直線上にあることを示せ。



《解答方針》
 この問題をメネラウスの定理の逆を用いて3点が一直線上にあることを証明する証明方法が良く知られています。
このページでは、その証明方法は使わず、もっと問題の本質を的確に把握して証明する、ベクトルの概念を用いた証明方法を示します。

【解答】
AT=QP=BS=x,
TD=PR=SC=y,
AQ=TP=DR=s,
QB=PS=RC=t,
とする。


水平線をOTRとして、その水平線上の点Aと点Pと点Cの高さの比は:
平行する2つの線分TAとRPを考え、
点Aの高さ→x,
点Pの高さ→y,
平行する2つの線分RCとTPの長さの比が(RC/TP)=(t/s)であるので、
点Cの高さ→(点Pの高さ)(t/s)=(yt)/s,
よって、
(点Cの高さ)/(点Aの高さ)=(yt)/(sx),   (1)

一方で、
水平線をOQSとして、その水平線上の点Aと点Pと点Cの高さの比は:
平行する2つの線分QAとSPを考え、
点Aの高さ→s,
点Pの高さ→t,
平行する2つの線分SCとQPの長さの比が(SC/QP)=(y/x)であるので、
点Cの高さ→(点Pの高さ)(y/x)=(yt)/x,
よって、
(点Cの高さ)/(点Aの高さ)=(yt)/(sx),   (2)

水平線OTRから見た高さの比(式1)も、
水平線OQSから見た高さの比(式2)も同じであった。

ベクトルOAとOCを以下の式であらわす。

そうすると、
水平線OTRを基準にした、(点Cの高さ)/(点Aの高さ)は、f/w,
水平線OQSを基準にした、(点Cの高さ)/(点Aの高さ)は、e/u,
になる。
ここで、式(1)と式(2)から、その高さの比は等しく(yt)/(sx)であった。
ゆえに、
f/w=e/u=(yt)/(sx),
そのため、ベクトルOCは、ベクトルOAの(f/w)倍の大きさの、ベクトルOAに平行なベクトルである。
よって、点O,A,Cは一直線上にある。

(証明おわり)

《ここをクリックして得るpdf》
 この設問では無いのですが、3点が一直線上にある事を示す種々の方法の事例が書いてあります。

リンク:
メネラウスの定理の証明:線の垂直線への射影の利用
高校数学の目次

2022年3月22日火曜日

確率の問題を空試行を考えて解く

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 下の図のような格子状の道がある。スタートの場所Aから出発し,コインを 投げて,表が出たら右へ 1 区画進み,裏が出たら上へ 1 区画進むとする。
ただし,右の端で表が出たときと,上の端で裏が出たときは動かないものとす る。
 この試行を行なうとき、以下の問いに答えよ。
(1) 8 回コインを投げ てもゴールBに到達できない確率を求めよ。


 
【空試行を考えた解答1】
 先ず、全試行のうちの1つの事象を数列で表します。
表が出る場合を1とし、裏が出る場合を0とすると、
8回以内でゴールに到達する全ての場合は、
以下の3通りがあります。

(7回でゴールに達する場合)の事象の連鎖:
(1,1,1,0,0,0,1)
(1,1,1,0,0,1,0)
(1,1,1,0,1,0,0)
(1,1,1,1,0,0,0)
・・・

通りがあります。

(8回でゴールに達する場合(その1))の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が0になる事象の連鎖。
(1,1,1,1,0,0,1,0)
(1,1,1,1,0,1,0,0)
(1,1,1,1,1,0,0,0)
・・・

通りがあります。

(8回でゴールに達する場合(その2))の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が1になる事象の連鎖。
(1,1,0,0,0,0,1,1)
(1,1,0,0,0,1,0,1)
(1,1,0,0,1,0,0,1)
・・・

通りがあります。

 7回でゴールに達する場合を、既にゴールに達した後でもコインを投げる空試行も加えると、8回の試行で表された事象の連鎖として表すことができます。そうすることで、その8回の試行の事象の連鎖が生じる確率が、8回でゴールインする場合の8回の試行の事象の連鎖の生じる確率と、同様に確からしくなります。
(空試行の追加その1)の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が1になる事象の連鎖。
(1,1,1,0,0,0,1,0)
(1,1,1,0,0,1,0,0)
(1,1,1,0,1,0,0,0)
(1,1,1,1,0,0,0,0)
・・・

通りと、
(空試行の追加その2)の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が1になる事象の連鎖。
(1,1,1,0,0,0,1,1)
(1,1,1,0,0,1,0,1)
(1,1,1,0,1,0,0,1)
(1,1,1,1,0,0,0,1)
・・・

通り、
があります。

8回でゴールに達する場合(その1)の事象の連鎖に、7回でゴールに達した後でコインを投げる空試行の追加その2の場合の事象の連鎖を加えると、
以下の、1が5つと0が3つの場合の全事象が得られる:
8回でゴールに達する場合(その1)の事象の連鎖:
(1,1,1,1,0,0,1,0)
(1,1,1,1,0,1,0,0)
(1,1,1,1,1,0,0,0)
・・・
(7回で達する場合に空試行の追加その2)の事象の連鎖:
(1,1,1,0,0,0,1,1)
(1,1,1,0,0,1,0,1)
(1,1,1,0,1,0,0,1)
(1,1,1,1,0,0,0,1)
・・・

通りがあります。

8回でゴールに達する場合(その2)の事象の連鎖に、7回でゴールに達した後でコインを投げる空試行の追加その1の場合の事象の連鎖を加えると、
以下の、1が4つと0が4つの場合の全事象が得られる:
8回でゴールに達する場合(その2)の事象の連鎖:
(1,1,0,0,0,0,1,1)
(1,1,0,0,0,1,0,1)
(1,1,0,0,1,0,0,1)
・・・
(7回で達する場合に空試行の追加その1)の事象の連鎖:
(1,1,1,0,0,0,1,0)
(1,1,1,0,0,1,0,0)
(1,1,1,0,1,0,0,0)
(1,1,1,1,0,0,0,0)
・・・

通りがあります。

その2つの場合を合わせて計算することで、
8回以内でゴールBに到達する全ての場合の確率が以下の式で計算できる。

そのため、8 回コインを投げ てもゴールBに到達できない確率は、以下の式で計算できる。

(解答おわり)

 リンク:
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2022年3月8日火曜日

三角形の2辺と1つの角から残りの辺を求める

これは、ここをクリックした先のページの問題の解答です。

【問1】

上図の三角形ABCの長さbを求めよ。

【解答】
 この問題は、3辺の2乗を使う余弦定理を用いて、長さbを計算することもできる。しかし計算間違いをし易い計算になる。

【余弦定理を使うよりも楽な解き方】
 以下の様に計算すると、それよりも楽に計算ができる。

【解答はじめ】
 以下の様に補助線を引いて直角三角形ABHを作って計算します。

①②③④の順に長さを求めて、 b=AC=2, を計算する。
(解答おわり)

(補足)
 この解き方を高校生が知ると、毎回この解き方で解き、余弦定理を使わないので、余弦定理を覚えさせるためにこの解き方は高校の先生には望まれていないようです。
 しかし、真剣勝負の場では、すなわち大学受験や、校外の模擬試験では、もちろん楽な解き方の方が良いので大いに使ってください。

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