2022年5月28日土曜日

tan(x/2)で置換積分して最適な積分変数を求める

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

ページ内リンク
▷【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分

【問1】

以下の不定積分を求めよ。


【解の第1段階】
 この問題を解く第1段階として、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解く。
(変数uを導入する考え方)
tan(x/2)=u
とする変数uを導入する場合は、
「ここをクリックした参考サイトの様な解き方」
をすると、
x/2=π/2の点で、
tan(x/2)の値が無限大になってしまうので、
その点を含む x の区間では積分できない
という問題がある。

(ここをクリックした先の「広義積分を必要とする積分の例」を参照)

 しかし、それを改善する手段がある。
(1) tan(x/2)が無限大になってその点のxで積分できないので、不定積分の変数xの定義域を、そのxの点を境界点にしたその境界点以外の左側の区間を第1の不定積分の変数xの定義域にする。また、その境界点以外の右側の区間を第2の不定積分の変数xの定義域にする。そのように、定義域が異なる2つの不定積分の解を求める。
(2) そのように定義域がバラバラな不定積分の解同士が、そのxの境界点で、不定積分の有限な値の極限値があり、そのxの境界点で、第1と第2の不定積分の解が接続できる場合は、そのxの境界点での極限値をその不定積分の関数の値として定義する。それは広義積分と呼ばれている。広義積分をすることを明確にするために、以下の説明文を解答に加える。
「この不定積分の関数F(x)でのcos(x/2)→0となる変数xの極限でのF(x)の極限値を、そのxの値でのF(x)の値と定義する」
 そして、xの境界点の左右の区間をつないで一体化して1つの区間にし、その区間を第1と第2の不定積分を合体させた関数F(x) の定義域にする。こうして、元の関数ではxの値が定義されていたが、tan(x/2)=tとする変数tを導入することで潰された変数xの値を、広義積分によってそのxの点での関数F(x)の値を定義することでそのxの点を定義域に復活させる。また、関数F(x) の定義域の区間を拡大する。

 以下で、その方法により解く。

【第1段階開始】
 この問題を、
tan(x/2)=uとする変数uを導入して以下の様に解く。


〔変数xの第1の定義域の不定積分〕
 以下のように、変数xを変数uに置き換えて置換積分する。その置換積分に対応して、置換積分をする変数xと変数uの範囲を定義し、計算の準備をする。得られる不定積分の関数は、式(3)で与えられる定義域の範囲の関数である。




次に、以下の置換積分の計算をする。


ここで、再度変数を変換して置換積分の計算をする。


ここで、式(8)と(2)によって、変数θと変数xとを結びつける式を整理する。

この式の両辺を2乗する。

この式(13)は、式(3)で制限された範囲の変数xによっては、分母が0にならない。
この式を変形する。



この式(14)で定義される変数θによって、積分結果が以下の式であらわされる。

なお、式(14)と対になるべき、sin(2θ)を変数xであらわす式が、以下の計算によって得られる。

こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、式(3)で制限された変数xの範囲での不定積分が以下の式であらわされた。

(第1の定義域の不定積分おわり)

〔変数xの第2の定義域の不定積分〕
 以下のように、式(23)で与える変数xの第2の定義域での不定積分を、変数xを変数uに置き換えて置換積分する。

これ以降の計算は、先の式(6)から式(15)の計算を繰り返して、変数xの第2の定義域の不定積分を計算する。
こうして、変数θが、式(14)(15)で定義されて、式(3)で制限された変数xの範囲での不定積分が以下の式であらわされた。

(第2の定義域の不定積分おわり)

〔広義積分の適用による積分の定義域の制限の解消〕
 上の式の計算で、不定積分の第1の定義域と第2の定義域の境界点のx=πの点を考える。その境界点の極限において、式(11)で与えられる不定積分の値が有限の値の極限値を持つ。そのため、x=πの点での不定積分の値をその極限値で定義する(広義積分の処理を行う)。その次に、第1の定義域の不定積分の定義域と第2の定義域の不定積分の定義域をつないで1つの定義域にした不定積分の解を得る。こうして広義積分を行なうことで、置換積分を媒介する変数uの導入によって制限されていた不定積分の積分範囲の制限を解消する。

(以上で解の第1段階の処理おわり)

【第2段階開始】
 以上の計算の結果、元の式を置換積分するために最適な積分変数が何であるかがわかった。そのため、その積分変数を使って、置換積分する。

以下の2つの式で定義する単位円の偏角の変数wを導入する。すなわち、式(a2)では、変数wを、cos()の逆関数と右辺のxの式との合成関数で定義している。

(注意)単位円の偏角wは、cos(w)の式だけで偏角wを定義する通常の定義の場合には、wの値の範囲を限定して偏角を定義していた。一方で、偏角wを、そのような値の範囲の限定に依らずに定義する場合は、sin(w)の式とcos(w)の式との2式を並置することで偏角wの値を確定させる必要がある。ただし、sin(w)の式とcos(w)の式を互いに矛盾しない式にする必要がある。

式(a2)と(a3)で定義されるwとxとは1対1で対応する。そのように扱い易い関係がある。
先ず式(a3)の両辺を微分する。

式(a2)を代入する。

この第2段階の積分の計算では、変数xの定義域を狭めない変数変換によって積分ができた。
(第2段階おわり)

(注意)式(a2)を代入した式を式(a4)に変形する計算は、値が0になり得る式(1+2cosx)で式を割り算する計算を含むので、同値変形では無い。その計算方法は、積分に広義積分を含ませることにより許されていることに注意すべきである。

(補足)
 ここで、変数wとxとに1対1対応の関係が成り立つ場合に、以下の関係が成り立つことを利用して、堂々と積分変数を変更して置換積分して良い。


【別解】大学数学で学ぶ複素関数を用いた複素積分
 この問題の積分は、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を利用して、以下のように積分することもできる。


ここで、「積分計算と相性が良い三角関数の積の分数の分解の公式」を適用する。また、複素積分を行い、複素数の対数関数log(複素数)を用いる。通常の実関数としての対数関数にはln()という記号を、複素関数としての対数関数にはlog()という記号を使って区別すると良いと思う


この式(b3)から、解をあらわす式(b4)(b5)が得られる。

(別解おわり)

【微分して検算する】
 以上の別解の積分結果を微分すれば逆に、元の被積分関数が得られると考える。そのことを、以下の一般的な形の式を微分して確認する。

以上の2つの式であらわされた関数wを微分する。
先ず、式(2)をxで微分する。


この式(3)に式(1)を代入する。

関数wの微分の式(4)が得られたので、
式(4)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)

(検算(その2))
以下の条件内に限定した以下の計算をして検算することもできる。
すなわち、式(1)と(2)から、以下の式(5)が得られる。
xの値が(π/2)などの、式(5)の分母を0にする値においては式(6)が定義されていない。しかし、その制限に対して、広義積分によって、変数xをその値に近づける極限での式(6)の各項の極限値を、変数xがその値での式(6)の各項の値と定義する。それにより、変数xがその値の場合でも式(6)を定義する。

 こうして、関数wの微分の式(6)が得られたので、
式(6)の右辺の積分が、式(1)(2)で表わされる関数wであることが確認できた。
(検算おわり)

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2022年5月27日金曜日

三角比の分数式の三平方の定理

これは、ここをクリックした先のページの問題の解答です。

【問題1】 
g>1の場合に、以下の式(1):

が成り立つ事を証明せよ。

【証明開始】
分子を以下のように変形する。

分子の2乗和が、分母の2乗に等しくなった。
よって、式(1)が成り立つ。
(証明おわり)


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2022年4月6日水曜日

3つの組に(各人を区別できる)所定人数を割り当てる組合せの数と、組分けの構造の対称性

以下は、ここをクリックした先のページの問3から問7の解答です。

【問3】
 (各人を区別できる)6人を、A組とB組とC組に、3人と、2人と、1人に分ける、ただし、各組に3人か2人か1人かを自由に割り当てた、あらゆる組み合わせの数は何通りあるか。

【問3の解答】
(1)
 3人割り当てた組(1組)と、2人割り当てた組(2組)と、1人割り当てた組(3組)を作る。
その組み合わせの数は、先ず、6人のうち3人を1組に割り当て、次に残った3人のうち2人を2組に割り当て、最後に残った1人を3組に割り当てる場合の数であって、
)()(),

通りである。
(2)
 1組と2組と3組をA組とB組とC組に、あらゆる組み合わせで対応させる組み合わせの数は3!である。
(3)
 A組とB組とC組に、3人と2人と1人を自由割り当てて分ける、あらゆる組み合わせの数は、
(3人割り当てた組(1組)と、2人割り当てた組(2組)と、1人割り当てた組(3組)を作るあらゆる組み合わせの数)×(1組と2組と3組を、A組とB組とC組に対応させるあらゆる組み合わせの数)
である。その数は、
)()()×(3!),
通りである。
(問3の解答おわり)

【問4】
 6人を、A組に3人、B組に2人、C組に1人を入れる組み合わせの数は何通りあるか。

【問4の解答】
(1)
 A組に3人割り当て、B組に2人割り当て、C組に1人割り当てる。
その組み合わせの数は、先ず、6人のうち3人をA組に割り当て、次に残った3人のうち2人をB組に割り当て、最後に残った1人をC組に割り当てる場合の数であって、
)()(),

通りである。
(問4の解答おわり)

【問5】
 6人を、3人と、2人と、1人に分けるあらゆる組み合わせの数は何通りあるか。

【問5の解答】
(1)
A組とB組とC組に、3人と2人と1人を自由に割り当てて分ける、あらゆる組み合わせの数は、【問3】の通り、
)()()×(3!),
通りである。
(2)
3人と2人と1人の3組を、A組とB組とC組に対応付けるあらゆる組み合わせの数は、3!組ある。
(3)
6人を、3人と、2人と、1人に分けるあらゆる組み合わせの数=
=(A組とB組とC組に、3人と2人と1人を自由に割り当てて分ける、あらゆる組み合わせの数)/(3組を、A組とB組とC組に対応付ける組み合わせの数)
=(A組とB組とC組に、3人と2人と1人を自由割り当てて分ける、あらゆる組み合わせの数)/(3!)
=()()(
(問5の解答おわり)

【問6】
 6人を、A組とB組とC組に、各組2人ずつ分けるあらゆる組み合わせの数は何通りあるか。

【問6の解答】
 6人を、A組とB組とC組に、各組2人ずつ分けるあらゆる組み合わせの数は、先ず、6人のうち2人をA組に割り当て、次に残った4人のうち2人をB組に割り当て、最後に残った2人をC組に割り当てる場合の数であって、
)()(),

通りである。
(問6の解答おわり)

【問7】

 6人を、各組2人の(区別が無い)3組に分けるあらゆる組み合わせの数は何通りあるか。

【問7の解答】
(1)
6人を、A組とB組とC組に、各組2人ずつ分けるあらゆる組み合わせの数は、【問6】の通り、
)()(),

通りである。
(2)
各2人の(名前の区別が無い)3組を、A組とB組とC組への組分けに対応付けるあらゆるバラエティの数、言い換えると、「A組とB組とC組への組分けを種にして、組の名前を付け替えて得られる組分けのバラエティの数」は、3!=6ある。

(3)
6人を、各組2人の3組に分けるあらゆる組み合わせの数=
=(6人を、A組とB組とC組に、各組2人ずつ分けるあらゆる組み合わせの数)/(名前の区別が無い3組を、A組とB組とC組への組分けに対応付けるバラエティの数)
=(6人を、A組とB組とC組に、各組2人ずつ分けるあらゆる組み合わせの数)/(3!)
=()()()/(3!),
通りである。
(問7の解答おわり)

《組み合わせの構造の対称性》
(事例1)
 【問6】の、(6人を、A組とB組とC組に、各組2人ずつ分ける組み合わせ)の組分けの数は、
)()(),

通りあります。
その組分けでは、
A組     B組    C組
[人1,人2]  [人3,人4]  [人5,人6],  (組分け1)
という組分けと、
[人5,人6]  [人3,人4]  [人1,人2],  (組分け2)
という組分けがあります。
この、2人ずつ3つに分ける組分けには、その3つの組の人数がどれも同じ数であるという対称性があります。
そのため、【問7】で、A組とB組とC組の区別を無くすと、
この組分け1と組分け2は同じ組み分けになって重複します。
このように、A組とB組とC組の区別を無くすと、その対称性のために同じ組分けになって重複する組分けが発生します。そのため、その対称性のバラエティの3!で割り算して重複を無くした組分けの数を数える必要がありました。

(事例2)
 一方で、【問4】で、A組に3人、B組に2人、C組に1人を割り当てる、各組の人数を異なる人数に固定して組み分けする組分けの数は、
)()(),

通りあります。
その組分けでは、
A組       B組    C組
[人1,人2,人3]  [人4,人5]  [人6],
という組分けがある。
この、各組の人数が異なる人数が固定された組み分けでは、3つの組の人数がどれも異なって、人数の対称性がありません。
そのため、【問5】で組の区別を無くしても、重複する組分けは発生しません。すなわち、事例2の場合から、A,B,Cという組の区別を無くても、組分けの数が変りませんでした。

(事例3)
 【問4】で、A組に3人、B組に2人、C組に1人を入れる、各組の人数を異なる人数に固定して組み分けする組分けの数は、
)()(),

通りあります。
しかし、その組分けでは、A組とB組とC組の人数に偏りがあります。A組とB組とC組を入れ替えたあらゆる場合の組み合わせではありませんでした。
A組とB組とC組を入れ替えたあらゆる場合の組み合わせは、【問3】の場合の組み分けでした。その【問3】の組み分けに、各組の区別を無くしたのが【問5】の組み分けでした。
その【問3】の組み分けでA組とB組とC組を置き換えた組み分けは、【問5】では同じ組み分けになって重複する組分けになります。
 すなわち、組の置き換えに関して対称な組み分けである、組の区別が無い組み分けの数は、A組とB組とC組を入れ替えたあらゆる組み分けの数を、組の置き換えのバラエティの数の3!で割り算した数になりました。
 この関係は普遍的な関係であって、【問6】と【問7】の間でも成り立っていました。すなわち、A組とB組とC組を入れ替えたあらゆる組み分けを含む【問6】の組み分けの数を、組の置き換えのバラエティの数の3!で割り算した数が、各組の区別を無くした【問7】の組み分けの数になる関係が成り立っていました。

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2022年4月3日日曜日

9人の組み分けのバラエティの数

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
(各人を区別できる)9人をA組とB組とC組に、どの組にも1人以上入るように分ける組合せの数はいくつあるか。

【解答1】
(1)先ず、9人を、(人数指定なく)A,B,Cの3つの組に分ける事を考える。
その組み合わせの数は、


通りある。
(2)次に、9人を、(人数指定なく0人もOK)A組とB組の2つの組に分け、C組は0人にする、2組占めで分ける事を考える。
その組み合わせの数は、


通りある。
ここで、
(2-1)その組み合わせの数のうち、9人全員を1組に入れてしまう1組占めの組み合わせの数は、A組占めにするかB組占めにするかの、
2通りがある。
(2-2)その2組占めにする2組を選ぶ組み合わせの数は、3つある。
(2-3)9人を、1人以上入れる2組占めに分ける組合せの数は、

通りある。
(3)A組0人B組0人C組9人にする、C組のみの1組占めで分ける事を考える。
その組み合わせの数は、
1通りある。
(3-1)9人全員を入れる1組占めする組(例えばC組)の選び方の数は、3つの選び方ができる。
(3-2)9人を、1人以上入れる1組占めに分ける組合せの数は、
3通りある。
(4)以上の結果から、9人をA組とB組とC組に、どの組にも1人以上入るように分ける組合せの数は、

通りある。
(解答おわり)

【別解1】
先の解における、
(2-3)9人を、1人以上入れる2組占めに分ける組合せの数は、
(A 0人 B 1人以上 C 1人以上、の場合の数)
+(B 0人 C 1人以上 A 1人以上、の場合の数)
+(C 0人 A 1人以上 B 1人以上、の場合の数)

だけある。

《組分け問題の本質の数学構造を理解する》
 組分けの数には、以下の数学的構造がある。

よって、

になる。
 そのため、別解の計算結果も先の解と同じ式で表せる。
 組分け問題を深く考えることで、組分け問題の底に隠されている本質の数学の構造が見えてくる面白さがあります。そういう面白さを見つけるように数学を学ぶのが楽しいことだと思います。
(別解おわり)


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2022年3月26日土曜日

3点が1直線上にある証明

以下は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 平行四辺形ABCD内の1点Pを通り,各辺に平行線を引き辺AB,CD,BC,DAとの交点を,順にQ,R,S,Tとする。2直線QS,RTが点Oで交わる時,3点O,A,Cは1つの直線上にあることを示せ。



《解答方針》
 この問題をメネラウスの定理の逆を用いて3点が一直線上にあることを証明する証明方法が良く知られています。
このページでは、その証明方法は使わず、もっと問題の本質を的確に把握して証明する、ベクトルの概念を用いた証明方法を示します。

【解答】
AT=QP=BS=x,
TD=PR=SC=y,
AQ=TP=DR=s,
QB=PS=RC=t,
とする。

水平線をOTRとして、その水平線上の点Aと点Pと点Cの高さの比は:
平行する2つの線分TAとRPを考え、
点Aの高さ→x,
点Pの高さ→y,
(点Pの高さ)/(点Aの高さ)=(y/x),
になる。

また、
平行する2つの線分RCとTPの長さの比が
(RC/TP)=(t/s)であるので、
(点Cの高さ)/(点Pの高さ)=(t/s),
よって、
(点Cの高さ)/(点Aの高さ)={(点Cの高さ)/(点Pの高さ)}{(点Pの高さ)/(点Aの高さ)}
=(t/s)(y/x)
=(yt)/(sx),   (1)

一方で、
水平線をOQSとして、その水平線上の点Aと点Pと点Cの高さの比は:
平行する2つの線分QAとSPを考え、
点Aの高さ→s,
点Pの高さ→t,
(点Pの高さ)/(点Aの高さ)=(t/s),
になる。

また、
平行する2つの線分SCとQPの長さの比が(SC/QP)=(y/x)であるので、
(点Cの高さ)/(点Pの高さ)=(y/x),
よって、
(点Cの高さ)/(点Aの高さ)={(点Cの高さ)/(点Pの高さ)}{(点Pの高さ)/(点Aの高さ)}
=(y/x)(t/s)
= (yt)/(sx),   (2)

直線OTRを水平線(基準線)とした基準線からの高さの比(式1)も、
直線OQSを水平線(基準線)とした基準線からの高さの比(式2)も同じ(yt)/(sx)であった。

ベクトルOAとOCを以下の式であらわす。

そうすると、
直線OTRを基準(水平線)にした、(点Cの高さ)/(点Aの高さ)は、f/w,
直線OQSを基準(水平線)にした、(点Cの高さ)/(点Aの高さ)は、e/u,
になる。
ここで、式(1)と式(2)から、その高さの比は等しく(yt)/(sx)であった。
ゆえに、
f/w=e/u=(yt)/(sx),
そのため、ベクトルOCは、ベクトルOAの(f/w)倍の大きさの、ベクトルOAに平行なベクトルである。
よって、点O,A,Cは一直線上にある。

(証明おわり)

《ここをクリックして得るpdf》
 この設問では無いのですが、3点が一直線上にある事を示す種々の方法の事例が書いてあります。

リンク:
メネラウスの定理の証明:線の垂直線への射影の利用
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2022年3月22日火曜日

確率の問題を空試行を考えて解く

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問1】
 下の図のような格子状の道がある。スタートの場所Aから出発し,コインを 投げて,表が出たら右へ 1 区画進み,裏が出たら上へ 1 区画進むとする。
ただし,右の端で表が出たときと,上の端で裏が出たときは動かないものとす る。
 この試行を行なうとき、以下の問いに答えよ。
(1) 8 回コインを投げ てもゴールBに到達できない確率を求めよ。


 
【空試行を考えた解答1】
 先ず、全試行のうちの1つの事象を数列で表します。
表が出る場合を1とし、裏が出る場合を0とすると、
8回以内でゴールに到達する全ての場合は、
以下の3通りがあります。

(7回でゴールに達する場合)の事象の連鎖:
(1,1,1,0,0,0,1)
(1,1,1,0,0,1,0)
(1,1,1,0,1,0,0)
(1,1,1,1,0,0,0)
・・・

通りがあります。

(8回でゴールに達する場合(その1))の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が0になる事象の連鎖。
(1,1,1,1,0,0,1,0)
(1,1,1,1,0,1,0,0)
(1,1,1,1,1,0,0,0)
・・・

通りがあります。

(8回でゴールに達する場合(その2))の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が1になる事象の連鎖。
(1,1,0,0,0,0,1,1)
(1,1,0,0,0,1,0,1)
(1,1,0,0,1,0,0,1)
・・・

通りがあります。

 7回でゴールに達する場合を、既にゴールに達した後でもコインを投げる空試行も加えると、8回の試行で表された事象の連鎖として表すことができます。そうすることで、その8回の試行の事象の連鎖が生じる確率が、8回でゴールインする場合の8回の試行の事象の連鎖の生じる確率と、同様に確からしくなります。
(空試行の追加その1)の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が1になる事象の連鎖。
(1,1,1,0,0,0,1,0)
(1,1,1,0,0,1,0,0)
(1,1,1,0,1,0,0,0)
(1,1,1,1,0,0,0,0)
・・・

通りと、
(空試行の追加その2)の事象の連鎖:
8回目の試行の事象が1になる事象の連鎖。
(1,1,1,0,0,0,1,1)
(1,1,1,0,0,1,0,1)
(1,1,1,0,1,0,0,1)
(1,1,1,1,0,0,0,1)
・・・

通り、
があります。

8回でゴールに達する場合(その1)の事象の連鎖に、7回でゴールに達した後でコインを投げる空試行の追加その2の場合の事象の連鎖を加えると、
以下の、1が5つと0が3つの場合の全事象が得られる:
8回でゴールに達する場合(その1)の事象の連鎖:
(1,1,1,1,0,0,1,0)
(1,1,1,1,0,1,0,0)
(1,1,1,1,1,0,0,0)
・・・
(7回で達する場合に空試行の追加その2)の事象の連鎖:
(1,1,1,0,0,0,1,1)
(1,1,1,0,0,1,0,1)
(1,1,1,0,1,0,0,1)
(1,1,1,1,0,0,0,1)
・・・

通りがあります。

8回でゴールに達する場合(その2)の事象の連鎖に、7回でゴールに達した後でコインを投げる空試行の追加その1の場合の事象の連鎖を加えると、
以下の、1が4つと0が4つの場合の全事象が得られる:
8回でゴールに達する場合(その2)の事象の連鎖:
(1,1,0,0,0,0,1,1)
(1,1,0,0,0,1,0,1)
(1,1,0,0,1,0,0,1)
・・・
(7回で達する場合に空試行の追加その1)の事象の連鎖:
(1,1,1,0,0,0,1,0)
(1,1,1,0,0,1,0,0)
(1,1,1,0,1,0,0,0)
(1,1,1,1,0,0,0,0)
・・・

通りがあります。

その2つの場合を合わせて計算することで、
8回以内でゴールBに到達する全ての場合の確率が以下の式で計算できる。

そのため、8 回コインを投げ てもゴールBに到達できない確率は、以下の式で計算できる。

(解答おわり)

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2022年3月8日火曜日

三角形の2辺と1つの角から残りの辺を求める

これは、ここをクリックした先のページの問題の解答です。

【問1】

上図の三角形ABCの長さbを求めよ。

【解答】
 この問題は、3辺の2乗を使う余弦定理を用いて、長さbを計算することもできる。しかし計算間違いをし易い計算になる。

【余弦定理を使うよりも楽な解き方】
 以下の様に計算すると、それよりも楽に計算ができる。

【解答はじめ】
 以下の様に補助線を引いて直角三角形ABHを作って計算します。

①②③④の順に長さを求めて、 b=AC=2, を計算する。
(解答おわり)

(補足)
 この解き方を高校生が知ると、毎回この解き方で解き、余弦定理を使わないので、余弦定理を覚えさせるためにこの解き方は高校の先生には望まれていないようです。
 しかし、真剣勝負の場では、すなわち大学受験や、校外の模擬試験では、もちろん楽な解き方の方が良いので大いに使ってください。

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