2015年4月28日火曜日

複素数平面を利用して問題を易しくする

この解答の元の問題はここをクリックした先にあります。

【問1】
 xy平面の放物線 y=x上の3点P,Q,Rが次の条件を満たしている。
△PQRは一辺の長さaの正三角形であり、点P,Qを通る直線の傾きは√2である。
このとき、aの値を求めよ。


【解】
 先ず、この問題を図形に描いてみます。


 次に、この問題の図形がどう変形して問題の条件に合う図形になるか、少し図形を描いて考える。

正三角形PQRは、線分PQの垂直二等分線上に点Rがある。
また、傾き√2の線分PQを、点PとQを放物線上に置いて平行移動させても、線分PQの中点のx座標は変わらない。
その中点のx座標の値をbとおく。

 線分PQのx軸上への射影の長さを2tとする。
そうすると、求めるべき三角形PQRの辺の長さaは、tの2√3倍である。

 このbとtを使ってP,Qのx座標をあらわしてみる。
 次に、三角形PQRが正三角形になる条件を、複素数平面の以下の式で表現する。

この式の意味は、
「点Pを中心にして、ベクトルPQを、長さを変えずに左回りに(π/3)の角度回転させると、正三角形の頂点Rを与えるベクトルPRになる。」
という意味の式です。

(このように、複素数平面では複素数の掛け算がベクトルの角度を変えるという性質を利用すると、正三角形になるという条件が楽に導入できました。)

 この式は、実部と虚部をともに一致させる式であるので、2本の式に相当します。
 この式と先の式①(あるいは式②と③)を連立させると、未知な点P,Q,Rの3つの座標を確定させる3つの式がそろった。

 そのため、これらの式を連立させることで問題が解けると考える。

 以下で、この複素数の式を整理して式を単純化する。
 この式の左右を一致させるのは、
(1)実部が一致すること。
(2)実部に対する虚部の比が一致すること。
です。
 (2)から先に計算してみます。
この式⑤と⑥を、②と③を代入してtであらわしてみます。
⑦と⑧を連立させてxを消去する。
これから、tを計算する。
これで、求めるaの値が計算できた。
(解答おわり)

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2015年4月27日月曜日

線対称なベクトルの複素数の式

この解は、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問2の3】

 上の図のように、ベクトルαを対称軸にした、ベクトルβに線対称なベクトルが上の式で表されることを証明せよ。

【解】
 ベクトルβに線対称なベクトルsは、以下の様に計算することで求められる。

【別解】
上の解答は覚えにくいので、覚え易い解答を書きます。

上図を参照して、以下のように考える。
 左回りの偏角θを持っていて長さがベクトルαとβの積のベクトルを、αとβであらわし、
また、sとαであらわす。
 (解答おわり)

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2015年4月25日土曜日

単位ベクトルの複素数の和の二乗

これは、ここをクリックした先の問題の解です。

【問2-2】
 以下のsの2乗を表す式を導け。


【解答】
 

sの二乗は、以下のように計算できます。

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単位ベクトルの複素数の差の二乗

これは、ここをクリックした先の問題の解です。

【問2-1】
 以下のuの2乗を表す式を導け。


【解答】

uの二乗は、以下のように計算できます。

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2015年4月18日土曜日

複素数とその逆数の和が実数になる式の解

これは、ここをクリックした先の問題の解です。

【問題】
 複素数zに対して以下の関係がある。
このとき、複素数
はどの様な数であるか?

【解1】
 以下の図のように複素数zと1/zとを複素数平面に描いて考える。
 zが実数や純虚数で無ければ、zと1/zとは、互いに平行しない異なるベクトルである。あらゆるベクトルは異なるベクトルの合成であらわせる。1/zはzの共役複素数に平行である。zとzの共役複素数の和は実数になる。実数ではないzと1/z の和が実数になるのは、1/z がzの共役複素数になる場合に限られる。

なお、zの逆数がzの共役複素数に等しいということは、
となり、zの絶対値が1に等しくなります。

(この解のポイント)
 複素数zの逆数(1/z)は、その複素数の偏角が、複素数zの偏角とプラスマイナスが逆です。そのため、(1/z)の位置ベクトルはzに共役な複素数の位置ベクトルと平行です。

(補足)また、「複素数平面のベクトル方程式」 のページ(ここをクリックした先にある)の問題も、この解法のように複素数をベクトルと考えて解くことで解きやすくなります。


(大切な注意)
 ここで、当たり前の解ではありますが、
z=実数、
(実数のzの大きさは、0を除き、正負の値のどの大きさでも良い)
という解もとても大事な解ですので、
これも解である事を見落さないようにして下さい。

 なお、問題の条件を満足する複素数zの存在位置を赤点の集合であらわすと、以下の図になります。
z ≠ 0が問題の式の前提条件になっているので、
z=0の点は、zの存在範囲から除外します。
(解答おわり)
   
【解2】
 以下の様に計算することによってこの解を得ることもできます。
計算で解を求めようとするとこんなに大変なのだという参考程度に見ておいてください。

この解のzは、解1の図を描く。
(解答おわり)

【解3】
以下の様に計算することによってこの解を得ることもできます。
実数tに関して以下の式1が成り立つと考える。
 この式を変形してzをtであらわす。
tの値の範囲を場合分けしてzの表す点を複素数平面上に描く。
式(3)の解は、実数項の2乗と虚数項の2乗の和が1になるので、解1の図の円になる(ただし、実数の点を除く)。
これは、解1の図の、実軸上の直線になる(ただし、z=0を除く)
(解答おわり)

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2015年4月16日木曜日

正三角形になる必要十分条件の式の証明

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問題】複素数平面上の 三点A(α),B(β),C(γ)が正三角形となる必要十分条件が、以下の式であらわされることを証明せよ。

(A)先ず、正三角形の場合に、この式が成り立つ事を調べる。

正三角形の場合は、この式は以下の式に変換できる。
この最後の式は、確かに成り立っている。
そのため、正三角形の場合に、

この式が成り立っている。

(B)次に、
この式が成り立つ時は正三角形になる事を証明する。 
 先ず、この式を簡単にするために、以下の図の様に、三角形の辺のベクトルを与える複素数a,b,cを使ってこの式をあらわす。
次に、この式を順次に変換していく。
この式の左辺と右辺は、以下の図の様に、三角形の辺と角度を使ってあらわせる。

そのため、三角形の辺と角度の間に以下の関係がある。
そのため、三角形ABCが正三角形になる。
以上の計算結果をまとめると、
が成り立つ場合は、三角形ABCは正三角形になる。

先の計算結果と合わせると、この式は三角形ABCが正三角形になるための必要十分条件である。 
(証明おわり)

リンク:
複素数平面での正三角形の条件
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2015年4月15日水曜日

複素数平面で3点が正三角形になるのに必要十分な式

これは、ここをクリックした先の問題の解答です。

【問題】複素数平面上の 三点A(α),B(β),C(γ)が正三角形となる必要十分条件が、以下の式であらわされることを証明せよ。

(A)先ず、正三角形の場合に、この式が成り立っている事を調べる。
(後に、この式が成り立つ時は正三角形になる事を調べる)

 正三角形の場合は、この式は以下の式に変換できる。
この最後の式は、確かに成り立っている。
そのため、正三角形の場合に、
この式が成り立っている。

(B)次に、
(この式を書き換えると以下の式)

この式が成り立つ時は正三角形になる事を証明する。

 その証明をする前に、証明の準備として、正三角形の辺のベクトル(を与える複素数)の間に成り立つ関係について考える。
以下の図の様な関係がある。



証明の準備のために正三角形の辺のベクトルの複素数の性質を考察した結果、上の図のようにして、ABCが正三角形になる必要十分条件を与える式を発見した。

以下で、この必要十分条件を与える式を変換する。
(証明おわり)

(補足)
 実際に自分で計算をすると、計算がうまく進められない問題にぶつかることがあります。
 その問題にぶつかった時、自分の計算の進め方において自分の従うべき計算の展開ルールを、計算の結果が誤りに誘導される事の無いように、計算方針に道しるべを付けて、道しるべを覚えて自分の計算方針ミスを無くしていきます。

 以下では、上の式の計算がうまく進められない例を示します。
先ず、上の計算式を以下のように進めます。
 この式は、以下の式に変換されます。
この式の第2項は、以下の、「求めたい式」の第3項と同じです。
 そのため、先の式のその他の部分をこの式に合わせたく思い、以下の計算をしました。
あれれ??。
先の式の2つの項を「求めたい式」の2つの項に一致させることが出来たのに、最後の項が、「求めたい式」の最後の項に一致しない??。

 この「計算ミス」は以下の原因により生じました。
実際に成り立っているのは以下の式です。
すなわち、最初の式の2倍が求めたい式と一致します。

しかし、この計算ミスでは、最初の式と「求めたい式」の一部の項が一致していたため、
その2つの式全体が一致するにちがいないと思い込んだ。
すなわち、
のように2つの式が同じでは無いのに、両者が同じ式だという誤った前提で計算を進めた計算ミスでした。

 「2つの式の一部に一致する項があったからと言って、その2つの式全体が一致するとは限らない」、と心に銘記して、計算を進めていきましょう。

リンク:
複素数平面での正三角形の条件
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