2015年4月8日水曜日

円の一部分で円周角が一定になることの計算での確認

この計算は、ここをクリックした先の問題の解答です

【問】以下の複素数平面のグラフの方程式を簡単な方程式に変換せよ。

《解答方針》
「(計算の定石)正弦定理や円周角の定理で解ける問題は、ベクトルの式や複素数平面の式の計算を使わないで、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方がスムーズに解ける。そのため、この種の問題は図形問題として解き、その結果を、ベクトルの式や複素数平面の式で表す。」

【解答1】

 このグラフの式(1)は、2つのベクトルの成す角度θのcosθが1/2である式であるので、2つのベクトルの成す角度θは60°です。そのため、円周角の定理から、複素数zの描くグラフは、上図のような2つの円上になります。
 そのうち1つの円の中心は1+i/√3であり、円の半径は2/√3です。
よって、この円のグラフの方程式は、Im(z)≧0のときは、
であらわせる。
(解答おわり)

 この円のグラフの方程式(2)から、以下の式(3)を計算することができます。

 この式(3)は、Im(z)≧0の場合には、式(1)と同じグラフをあらわす式です。

 以下では、計算で、式(3)が成り立つ場合に、Im(z)≧0の場合には式(1)が成り立つことを証明してみます。
 図形を見て問題を解くよりも計算で問題を解く方がかなり込み入っています。そのため、図形を見て問題を解くことを推薦しますが、計算ではどのくらい込み入った計算をするかを、以下で示します。

【証明開始】
 先ず、式(3)から以下の式(4)が得られます。

  この式(4)によって、|z|の二乗がzとzの共役複素数のベクトルの合成の形に単純化できます。


先ず、この式(1’)の左辺を、式(4)を代入しつつ計算します。
これで、式(1’)の左辺が計算できました。
次に、式(1’)の右辺をdと置いて計算します。

これで、式(1’)の右辺dが計算できた。

 以上の計算の結果、式(3)で表わされる円上の点zは、Im(z)≧0の場合には、
式(1)左辺の値が正になり、正の値dである式(1’)の右辺の値と一致し、式(1’)の関係を満足することが証明できた。
(証明おわり)

《正弦定理や円周角の定理にかかわる複素数平面の計算をスムーズに進める方法》
 「ベクトル計算での挫折を回避する方法 」のページで説明したように、
三角形ABCの外接円の半径をRとすると、円周角の定理が次の式1であらわされる。

cosA=m/R, (1)

この式1は、円周角の定理から素直に導き出した式であり、ベクトル計算で導こうとするととても苦労する式です。

また、ベクトル計算で導こうとすると更に苦労する式:
|AB||AC|=2Rh, (3)

 この式1と3を円周角の定理を表現した有名な公式として覚えて使うことで、通常は挫折するベクトル計算の挫折を回避することができる。複素数平面での計算においても、この公式を覚えて使うことで計算をスムーズに進めることができます。
【解答2】
|AB||AC|=2Rh, (3)
の公式を使うと、
式(1)は以下の式に変形できる。

rは外接円の半径である。そして、rは以下の式であらわせる。

(図形的考察が推奨されるので、この外接円の半径rの値は正弦定理を使って導出しても良い)
そのため、上記の式は以下の式に変形できる。

これにより、式(2)が導き出せた。
(解答おわり)

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