これは、ここをクリックした先の問題の解答です。
【問3】(第6の解の式)
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとすると、
この三角形の外心Pの座標が上式であらわされる事を証明せよ。
【問3の第6の形の式→問2の第2の形の式への変換】
以下で、外心を表す第6の形の式(上記の式)
U/D
を使って、ベクトルPMを表す式を計算する。
そのベクトルPMを表す式が、
ベクトルBAに直交するベクトルを表す式
i(βーα)
の実数倍になる事によって、
ぺクトルPMがベクトルBAと直交することを示す。
先ず、ベクトルPMは、第6の形の式を使って、以下の式であらわせる。
ここで、交代式Dは、3つの複素数の交代式を簡単化する公式によって、以下の式であらわされる。
また、式Uは以下の式に変形できる。
この式に、α→β→ɤ→αの置き換えを行なう。
このUとDの式を使って、ベクトルPMの計算を続ける。
ベクトルPMは、ベクトルBAを複素数で表した式(βーα)の純虚数倍である。よって、ベクトルPMとベクトルBAは直交する。
P点の座標を与える式は、αとβとɤが交代している式なので、
ベクトルPNの式も、パラメータを置き換えた計算で同様に計算でき、ベクトルBCに直交する式になる。
よって、点Pは三角形ABCの外心である。
(証明おわり)
以上の計算の結果、P点の座標ρの式は以下の式になった。
すなわち、問2の第2形の解の式が得られた。
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【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとする場合に三角形の外心Pの座標をα、β、ɤ及びその共役の複素数であらわす式を求めよ。
【問2の解答(その4)】(第6の形の解)
第6の解が得られる解き方は、以下の解き方が分かり易いです。
外心Pから三角形の頂点までの距離が等しい事から方程式を立てます。
この式4は、問3の式と同じ第6の形の式である。
(解答おわり)
ベクトル方程式を使って、この解答(その4)の第6の形の式を求めようとすると、「ベクトルで三角形の外心を表す種々の式」【第33の解】のように面倒な計算が必要でした。ベクトルの計算では、解を表すために必要なベクトルとして、基準とするベクトルに直交するベクトルを新たに導入する必要性があったからです。それに対して、複素数平面を使った上の計算では、スンナリ解答を得る事ができました。
(補足3)
なお、後の問3では、ベクトルが直交する事を確認して第6の形の式が三角形の外心の位置を表す式である事を証明しますが、それよりも、この解き方で外心を表す式を求めてしまった方が速く解答できるようにも思います。
また、この第6の形の式を変形して、外心の特徴を解析し易い形をした第2の形の式に変換する計算は大変です。
複素数であらわす三角形の外心の式を変換して各種の式を求めるよりも、外心のそれぞれの性質を元にして、各種の複素数の式を計算する方が速く外心の公式が得られると思います。
(補足4)
解答(その1)の第2の形の式や、解答(その4)の第6の形の式を、ベクトルの計算で求める場合は、ここをクリックした先に書きました。
複素数平面による解の式の表現のバラエティが広いため、ベクトル計算では苦労する解き方も、複素数平面を使うと比較的楽に解けるようになりました。
(補足5)
この解答(その4)の、第6の形の解を変形して、定石の形の解の式に変形してみます。
(交代式の変換の公式)
この、「交代式の変換の公式」を使って、以下の様に式を変形します。
(定石の形の解)
このように定石の形の解に変形できましたが、この式の変形でも、交代式の変換の公式を使う等で、計算量が多いです。
第2の形の解、すなわち、ベクトルBMとベクトルMPとに分けた式で表した解答(その3)の第2の形の解の式も、
定石の形の解答の式も、また、第4の形の解も、第5の形の解も、
同じ価値を持つ異なる形の解であると考えます。
その解の形の違いは、解をどの様な形で表すかの、解答者の意思の違いによって決まります。
複素数平面の解の形(パターン)の発見・発案は、図形を考えて図形の定理を発見する事で得られます。(図形の定理が含む情報の方が、複素数の式が含む情報よりも豊か)
複素数平面の問題を解く力は、図形の研究(相似な図形のパターンを発見して、それを複素数平面の複素数の式で記述する)によって強化されます。
(解説)
解答(その4)の式4(第6の形の解)は、式の文字が交替している形で表されていて、一見してきれいな形をした式ですが、計算するべき積の数が多いので、計算に適用する元の式としては扱いにくい式であると考えます。
定石の形の式か、第2の形の式の方が、計算するべき積の数が少ないので、優れた解答の式だと考えます。また、第2の形の解の、解答(その1)の式15は、図形の平行移動や回転に対して解が正しく変化する事が明確にわかる形をしている優れた形をしています。
一方、第6の形の解の、解答(その4)の式4は、図形の平行移動や回転に対して解が正しく変化する事がハッキリしない劣った形をしています。
問題を図形的に解いて、また、図形の平行移動や回転に対して解が正しく変化する事が分かる見通しの良い形をした解を求める事が望ましい解と考えます。
問2の解答(その4)の式4から、問3の解答(その2)の計算をすることで、問2の解答(その1)の式15の形の式が得られます。しかし、その計算は計算量が多く、大変な計算です。
図形の考察を優先して解を求めた問2の解答(その2やその3)でも、解答(その1)と同じ優れた解答が得られたので、解答(その2やその3)の解答方針は正しい解答方針だとわかりました。
しかも、問2の解答(その2やその3)は、解答(その1)と同じ式を解答できる上に、解答(その1)よりも楽に解の式を導き出せ、解答に無駄が無い優れた解答方法です。
解答(その2やその3)と解答(その1)の式15は、その式から解答(その4)の第6の形の式4を導き出す計算が比較的容易でした。
その計算が楽だった理由は、解答(その2やその3)及び解答(その1)の式15は、解答(その4)の第6の形の式4よりも多くの情報を含んでいる式であり、その情報を減らす計算だったので楽な計算になったと考えます。
問題の解き方の発想の違いにより、意味の異なる、形が違う(互いに変換はできる)同じ式が得られる。そうして得られた式は、他の発想で解いて得た式から変換はできるが、その変換計算は結構面倒な計算だと分かりました。
問題の解き方の発想(発案)が、問題を解いた結果の解答以上の価値を持つ場合があると考えます。どのように発案して問題を解くかという発案にこそ価値があると注意しましょう。その発案を豊かにするために、できるだけ「複素数平面のグラフをあらわす方程式を変換する問題は、複素数の計算をせずに、図形の考察で答えを求めるようにしましょう。」を行うよう、こころがけましょう。
特に、複素数平面の複素数の計算は、この問題の例のように、わずらわしい計算を必要とする場合が多いと考えるので、そのわずらわしさを少しでも減らすために、図形の考察で解ける限り解くことを推薦します。
この解答(その4)の第6の形の式4と、解答(その2やその3)の第2の形の式の間の相互の変換は、3つの複素数の交代式の簡単化公式2を覚えて使えば計算が楽になりますが、その公式2を覚えて変換するよりは、
(1)定石の形の解答の式の導き出し方と、
(2)第2の形の解答(その2やその3)の第2の形の式の導き出し方、
(3)第4や第5の形の解の式の導き出し方や、
(4)第6の形の解答(その4)の式4の導き出し方、
をそれぞれ覚えて、それぞれ独立に導き出す方が、迷いが無いので良いと考えます。
同様な例として、「三角形の頂角の二等分線の長さに係る証明 」でも、発想の違いによる解き方によって、同じ解が異なる形で得られました。
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【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとする場合に三角形の外心Pの座標をα、β、ɤ及びその共役の複素数であらわす式を求めよ。
【問2の解答(その3)】の結論:
(解答おわり)
この第2の形の式は定石の形の式にまで変形可能ですが、この形を解として良いと考えます。
【定石の形の式との関係】
問1の解答の定石の形の式を第2の形の解に変換するには、以下の煩雑な計算が必要です。
(問2の解答の第2の式の形)
変換はできましたが、これほど計算が多いと、これでは、種々の形の解を式の変換によって発見する事は無理です。
以下では、この問題2の解答(その3)の第2の形の式を、
点Bを原点にした場合の式に変形して、
その式を定石の形の解答の式に変形する計算をしてみます。
(定石の形の解)
このように第2の形の式を定石の形の式に変形できましたが、この計算量も多いです。
この様に、第2の形の式を変形してこの定石の形の式に変換する事はできますが、その複素数の式の変形操作は、この定石の形の解を発見する原動力にはならないと考えます。
【第4の形の解】
また、この定石の形の式は、以下の第4の形の解に変形することもできます。
(第4の形の式)
この第4の形の式は、ベクトルAに垂直なベクトルAvとベクトルCに垂直なベクトルCvの所定係数倍で外心の座標を表す定理を表しています。
このように、複素数平面での各式は、何等かの定理を表していると考えられます。それぞれの解が、その解に対応する定理を表しているので、それぞれの解が、同等な価値を持つ解であって、どの解が最善の解と定める事はできません。
【第5の形の解】
先の計算によって以下の形の第4の形の解が得られた。
ここで、複素数AとCを使ってPを表すことができたが、この式には虚数 i が使われています。
以下では、複素数の分解の公式を使って、虚数 i が使われていない式(第5の形の解)を求めます。
この式を第4の形のPの式に代入して変形します。
ここで、以下の図の、三角形の高さhを使って式を変形する。
(第5の形の解おわり)
この第5の式は、複素数の分解の公式を利用して以下の様に計算する事でも得られる。
(第5の形の解おわり)
【第6の形の解】
先に得た第4の形の解は、以下の様に計算することで、
問3の解の第6の形の式に変形できます。
(第6の形の解)
この変換の計算も計算量が多い計算でした。
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【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとする場合に三角形の外心Pの座標をα、β、ɤ及びその共役の複素数であらわす式を求めよ。
【問2の解答(その3)】第2の形の解
図形を平行移動して点Bを原点にした解を求めて、その解を平行移動した解を求めてみます。
上図の様に、三角形の点Bを原点Oとする座標系を考え、図形で考えます。
すると、以下の計算ができます。
この解を、点Bを原点から平行移動した図形の解に変換する。
よって、点Pの座標をあらわす式は、以下の式になる。
更に、この式の第2項の分母を、3つの複素数の交代式の簡単化公式を利用して変換する。
(解答おわり)
この第2の形の式は定石の形の式にまで変形可能ですが、この形を解として良いと考えます。
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【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとする場合に三角形の外心Pの座標をα、β、ɤ及びその共役の複素数であらわす式を求めよ。
【問2の解答(その2)】(第2の形の解)
(解答のための第1優先事項)
複素数平面のグラフをあらわす方程式を変換する問題は、複素数の計算をせずに、図形の考察で答えを求めるようにしましょう。すなわち、複素数平面のグラフを表わす複素数の方程式同士を計算でつながないで図形の考察でつなげば何とか問題が解けますのでそれを第1優先にしましょう。
この優先順位に従って、図形の考察を優先し、ベクトルで三角形の外心の高さを求めた「三角形の外心の高さ」の解き方と同様な解き方をしてみます。
上図の様に、三角形の外心Pを原点Oとする第2の座標系を考え、外心Pを始点にした、三角形の頂点までのベクトルA,B,Cを考えます。
三角形の外心Pの位置を表す複素数をρとする。
外心Pを始点にしたベクトルA,B,Cをあらわす複素をA,B,Cとする。
すると、以下の計算ができます。
ひし形の対角線の直交の公式を使って式を変形します。
得られたこの式は、解答(その1)の式7と同じ第2の形の式である。
(解答おわり)
この第2の形の式は定石の形の式に変形可能ですが、この形で解として良いと考えます。
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【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとする場合に三角形の外心Pの座標をα、β、ɤ及びその共役の複素数であらわす式を求めよ。
【問2の解答(その1)】(第2の形の解)
(注意)この種の問題を解くときは、下図の点Bが原点の場合の問題を解いて、その解を、図形を平行移動した場合の解に変換して問題を解くのが定石です。
しかし、以下の解答(その1)では、その定石を守らず無理やり解くと問題の計算量がとても多くなって、とても面倒になる事を示す例として解きます。
大学の入学試験の限られた試験時間では、面倒な計算をして道草を食っている時間的な余裕はありません。
試験の際には行なわないような面倒な計算の道草は、本番試験や模擬試験では行なわないように、時間的に余裕のあるときに体験しておいて欲しいと思います。
こういう解き方をすると時間を食う事を知っておくと、試験本番では、この解き方を避けて短時間で解答できる様になると思います。
上図のように、外心Pの座標ρを、実数のパラメータkとmを使った2通りの式であらわす。
その2通りの式を等しいとした方程式を立てて、それを解く。
こうして得た実数mを式1に代入して外心Pの座標のρを求める。
この式の一部の分子を整理する:
式4の一部の分母を整理する:
(注意)この式は展開すると交代式になる(3つの複素数の交代式を簡単化する公式のページを参照)が、上式のように積の形にした方が簡単であり、扱いやすい。
これらの式5と式6を式4に代入する。
(解答おわり)
この解答は、定石の形の解答まで変形可能ですが、この形で解答として良いと考えます。
(検算しよう)
複雑な計算をしているとどこかで計算まちがいをして正しい答えが得られません。そのため、式の計算に間違いをしていないか、以下のようにして検算しておきましょう。
上の計算の式1から式7までの計算を、各変数を以下の具体的値に置き換えて、以下の様に各式を見て、その計算に間違いが無いかを検算しましょう。
以上のように変数に値を代入して検算しましょう。
また、変数に更に別の値を代入して検算を繰り返せば確実です。
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