2016年11月20日日曜日

三角形の角の2等分線の長さの解答

これは、ここをクリックした先のページの問題の解答です。

【問1】 
 上の三角形において、∠Aの2等分線の線分ADの長さmを三角形の辺の長さa,b,cであらわせ。

【解答1】
先ず、三角形の角の2等分線による底辺の分割比の公式と、余弦定理により、長さmを計算する方程式を作成します。
c≠0,a≠0,a1≠0の場合:
この方程式を使い、以下の式を得る。
(以下の式は、2cosBを、三角形BDAの余弦定理で表した左辺と、三角形BCAの余弦定理で表した右辺とが、等しい事を表す式)
 この式を整理してmをあらわす。
(解答1おわり)

(補足1)
ここでmの長さを計算する式が求められたが、この式は覚えられない。
一方、この式は、以下のように覚え易い式に変形できる。
更に、以下の様に変形した式の方が、現象の本質を表していると考える。ただし、覚えにくい問題がある。

【ベクトルの内積を使った解答2】
 よって、
(解答2おわり)
このように、ベクトルの内積を使うと、解答がよどみ無い計算の流れで求めることができる。

----(補足2)--------------
以上の計算の過程を見ると、以下の公式1が成り立っていることがわかります。

この式は以下の、余弦定理2:

から速やかに導き出されます。
余弦定理の式2を覚えるよりも式1を覚える方が覚えやすいかもしれません。
更に、式1は、以下の、半角の余弦定理3をあらわしています。

-----(補足2おわり) -----

 なお、ベクトルの内積を使うと、長さa1,a2と長さmとの関係の式が、以下の様な計算により比較的簡単に導き出せます。
上の図の様にベクトルa1とa2を定義すると、ベクトルa1とベクトルa2の内積を以下の様に計算できます。
ここで、ベクトルa1とa2の内積は長さa1とa2の積である。
これにより、長さa1とa2の積を長さmと長さbとcで表す式が比較的簡単に求められた。 

(補足3)
 この定理の式を覚えようとしても覚えられません(何度覚えても式を忘れます)。
 そのため、この定理の式を覚えるには、以下ように公式を導出するようにしましょう。
(第1の覚え方)
 上に記載した、最後のベクトルの計算(ベクトルa1とベクトルa2の内積の式の変形)のパターンを覚えて、速やかに公式を導出できるようにすると良いと思います。

(第2の覚え方)
 または、この定理の要になる、下の最初の図の、三角形の外接円と、円周角の定理によって角度が等しい相似な図形のイメージを覚えて下さい。そうすれば、その図のイメージがヒントになって、相似の図形の辺の比例の式(定理の式と同等)が速やかに導き出せるようになります。

 この定理と、それ以外の類似した定理の全ては、以下の3つの図の相似な三角形の組み合わせのイメージを覚えるだけで、それらのイメージから得られる情報を使って、全てを求めることができます。
 そのため、それらの定理の式を実践の場で使える応用力をつけるには、それらのイメージを覚え、その図のイメージの相似な図形の辺の比例の式(定理の式と同等)を図から導き出してください。それらの相似な図形の辺の比例の式は、定理の式が変形された定理の式と同等な式なので、それらの式を使えば、定理の式を使うのと同じく問題を解くことができます。

【公式の速やかな導出】

 公式が覚えられないという真実を知りました。その対策として、上記の図形の関係を覚えておいて、この公式を速やかに導き出すことで、公式を覚えたのと同じ効果を得ましょう。
 以下で、上記の図形の関係を使った公式の導出方法を記載します。
【解答3】

上の図の2つの式を以下の式に変形します。
ここで、以下の関係が成り立ちます。
この関係を式1に代入する。
(解答3おわり)
この解答3で公式が導出できました。
(公式の導出おわり)

 この式2によって、角の二等分線の長さmを、三角形の辺a,b,cで求める公式が得られました。
(この式2は覚える事はとても困難な式ですが、以上の手順でいつでも導き出すことができます。それは、定理の式を覚えているのと同じ事だと思います。)

【解答4】
角の二等分線の長さmを辺a,b,cから計算する式を求めるために、三角関数を使って長さmを表す式を求めて解を得ようとした方もいるかもしれません。
 ここで:
(解答4おわり)
もう少し変形でき、

(解答4bおわり)

 この様に三角関数であらわすmは求められましたが、それだけでは直ぐにはmを辺a,b,cで表す式には結び付きませんでした。この三角関数で表した解を辺a,b,cの長さに対応するsinA,sinB,sinCで表す式に変換するのは大変そうです。そのため、辺a,b,cで長さmを求めるためには、三角関数を使って問題を解こうとするのは不適切と分かりました。

 この解答が先に辺aとbとcで表した解答と大きく異なるので、この解答が正しいのかどうか確認したいと思います。ここで、以下の関係を思い出します。
すなわち、bc=2Rhです。
高さhを使うとこの解答が更に単純になります。
高さhを使うとmは以下の様に求められます。

この様に速やかに計算できるのでこの解答も正しい事がわかりました。

【解答5】
以下のようにして解くこともできます。

先ず、以下の関係が成り立つ。
ここで。三角形ABCの面積が以下の2通りの式で表せる。

この式の両辺を二乗する。


(解答5おわり)


リンク:
高校数学の目次


0 件のコメント:

コメントを投稿